2018 Fiscal Year Research-status Report
Enantioselective total syntheses of bioactive natural products with tetrasubstituted carbon(s) using highly reactive carbon species
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17K08208
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉村 智之 金沢大学, 薬学系, 准教授 (20432320)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 天然物全合成 / 不斉合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)Sigillin A 全合成の鍵中間体となる四級不斉炭素含有二環式ケトンの不斉合成法の開発:ビニルリチウムの分子内不斉非対称化による四級不斉炭素含有二環式ケトンの合成が可能になったものの,その光学純度は 39% ee と満足いくものではなかった。そこで,キラルリガンドを種々検討し,光学純度の向上を目指し実験を行った。Sparteineやキラルな 1,2-ジアミン誘導体,TADDOL 誘導体,アミノアルコール誘導体を用いて反応を行ったものの,光学純度の向上には至らなかった。一方,sigillin A の全合成を見据え,得られた二環式ケトンからの合成を開始した。三級アルコールを脱水によりジエンへと変換後,ジヒドロキシル化により位置選択的にジオールへと変換した。現在,本化合物からの sigillin A への合成を検討中である。 2)Gonytolide A の全合成研究:ビス(o-ブロモフェニルトリフラート)のリチウム-ハロゲン交換を経由するクロマン骨格構築が困難であったことから、吉岡らによって報告されている,ベンザインを経由するクロマン構築法を試みることととした。ベンザイン前駆体となるビス(o-トリメチルシリルフェニルトリフラート)の合成を行った。種々検討を行ったが、芳香環の電子密度が高いため,所望の基質合成ができないことが分かった。そこで,フェニルアニオンを経由する合成ルートを検討するため,側鎖部分の合成に着手した。4-butyne-1-ol の水酸基を TBS 化後,n-BuLi とパラホルムアルデヒドを用いてプロパルギルアルコールを得た。これに対し,Red-Al と続くヨウ素処理により,アルケニルヨウ素の合成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1)Sigillin A の全合成: 当初の計画では,アルケニルリチウムによる分子内不斉非対称化で,高い光学純度が達成できると考えていた。種々条件検討を行ったものの,39% ee を上回る光学純度が達成できていない。現在,ラセミ体による合成ルート確立を目指して研究を進めているものの,鍵反応での光学純度向上の検討に時間を費やしたことから,当初の計画より若干遅れ気味である。 2)Gonytolide A の全合成:計画では,低温条件下におけるキラルビベンザインと不飽和エステルによる hetero-Diels-Alder 反応で,軸不斉クロマン骨格合成を目指した。しかし、ビベンザインと不飽和エステルとの hetero-Diels-Alder 反応が困難であったことから、ビベンザイン前駆体のデザインを変更した。このことから,基質合成に時間がかかり,当初の計画より若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)Sigillin A の全合成:鍵反応における光学純度の向上を目指しつつ,全合成ルートの開拓を行っていく。現在,ラセミ体での鍵中間体合成は可能であることから,この化合物からの sigilln A 全合成を試みる。 2)Gonytolide A の全合成:ビベンザインを鍵とする合成ルートは困難であると考えられるので、フェニルアニオンを経由する合成ルートを探索する。本ルートにおける合成中間体は,既に合成している軸不斉ビフェニル化合物を利用できることから、側鎖部分の合成法を確立後,全合成に向けてフェニルアニオンと側鎖のカップリング反応を種々検討する。
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Causes of Carryover |
今年度は研究の進行に若干の遅れがあったため,当初の計画より消耗品の量がいくぶんか少なくなり,差額が生じた。来年度は,研究計画を確実に遂行するため,実験に必要な試薬類の購入に差額分を充てる予定である。
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