2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K08210
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村井 健一 大阪大学, 薬学研究科, 助教 (70532068)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ハロゲン化 / 不斉反応 / 位置選択性 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機ハロゲン化合物の新規合成法の開発は合成化学上重要な課題であり、本申請研究では、アルケンの「エナンチオ選択的」ハロ官能基化と、インドールなど芳香族化合物の「位置選択的」ハロゲン化の新手法を開発することを目的に研究を行っている。 分子内不斉ハロ環化反応は有用な手法が多数報告されているが、分子間での不斉ハロ官能基化反応は数例報告されているのみでありより一般性の高い手法の開発が望まれている。本年度は、申請者がこれまでに報告しているカルボン酸活性化触媒(トリスイミダゾリン)を用いる分子間不斉ハロエステル化について検討した。特に、メソ体のハロニウム中間体を経由する分子間ハロエステル化反応についてシクロヘキセンを基質として検討した。トリスイミダゾリン触媒存在下、安息香酸の付加反応について種々のブロモ化剤(N-ブロモスクシンイミド、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントインなと)を用いて検討したがエナンチオ選択性は発現しなかった。安息香酸以外のカルボン酸を用いた場合も同様の結果となり、分子間ハロラクトン化反応で用いた条件を分子間ハロエステル化反応に適用しても選択性は得られないことが分かった。 芳香族化合物の「位置選択的」ハロゲン化の新手法を開発することを目的に、セレンを官能基として有する新たなルイス塩基触媒を設計し芳香環のブロモ化についても検討した。検討の結果、触媒自体の活性は弱いものの、アニリンを基質とした場合に触媒非存在下と比べ反応が促進されるのに対し、フェノールを基質とした場合には触媒非存在下と比べ反応性が低下することを見出した。アニリンとフェノール間での化学選択性の差は面白い知見であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
芳香族化合物の「位置選択的」ハロゲン化に関しては、最終目標であるインドール化合物の位置選択的ハロゲン化は達成できていないが、新たなセレン触媒により、アニリンとフェノール間での化学選択性について興味深い知見を得つつある。一方、分子間不斉ハロ官能基化反応について良好な結果が得られておらず、研究全体としては当初目標からやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、エナンチオ選択的及び位置選択的ハロゲン化法の開発について検討する。 「エナンチオ選択的反応」として光学活性ホスフィナイトとアルコールとの可逆的なトランスエステル化を利用する新たに設計した触媒系について検討する。また、芳香族化合物の「位置選択的」ハロゲン化に関しては、引き続きセレン触媒について評価を進める予定である。
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Causes of Carryover |
研究実績の項に示したように、分子間不斉ハロラクトン化反応において当初の予定した成果が得られなかった。そのため、試薬(一般性の検討用)の費用などが当初の予定を下回った。今年度請求分により、反応開発用の研究費を確保し、研究を加速させる予定である。
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Research Products
(9 results)