2018 Fiscal Year Research-status Report
Synthetic study of chiral compounds by taking advantage of an umpolung approach
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17K08216
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
宮田 興子 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 客員教授 (90102110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
品田 哲郎 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (30271513)
武田 紀彦 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (30449871)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 極性転換反応 / 不斉補助基 / ジアステレオ選択性 / 有機アルミニウム試薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
カルボニル基の極性転換反応による新規炭素・炭素結合形成反応の開拓を目的として、2018年度は、ケテンアセタール系以外でのジアステレオ選択的極性転換反応と光学活性化合物の合成を検討した。3-フェニルプロパン-2-オンを基質として、光学活性ベンゾピラノイソキサゾリジンをヘテロ原子連続型の極性転換反応のトリガーに選択し、トリフェニルアルミニウムを用いた極性転換反応を検討した。その結果、2当量のイソキサゾリジンと3当量の有機アルミニウム試薬を用いたとき、収率66%、94%の高いエナンチオマー過剰率で光学活性ケトンが合成できた。この知見をもとに、さまざまなアリール置換基を有するプロパン-2-オン類を用いて、種々の光学活性ケトンを合成した。本法の高いジアステレオ選択性は有機アルミニウム試薬とイソキサゾリジンの2つの酸素原子の配位による反応場の形成により誘起されているものと考察している。応用例として、医薬品として知られているナブメトンおよび含窒素複素環を有するペントキシフィリンのメチルケトン部位にフェニル基を導入することにも成功するなど、官能基に富む基質に広く適用できることを示した。また、本合成で得られた光学活性化合物のさらなる官能基変換として、ケトンに対するMeMgBr反応やホウ素還元剤の付加を検討したところ、いずれも高い立体選択性を伴って付加反応が進行し、連続不斉中心を有する2級アルコールへと変換できることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジアステレオ選択的合成法の基質適用範囲を詳しく調査し、さまざまな光学活性化合物の合成に適用できることを示した。研究は順調に推移し、前半期に掲げた目標はおおむね達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
極性転換反応の可能性を拡大する基礎研究に取り組む。それをもとに光学活性化合物を合成する研究に引き続き取り組む。
1)安定なアルコキシエナミンの合成:これまで極性転換反応に用いてきたアルコキシエナミン類は不安定であり、必要に応じて調製する必要があった。この点を抜本的に改善する新たな合成法の開拓に取り組む。具体的にはトシルアルコキシアミンに対するビニル化を試みる。これより得られるエナミンのN-O結合の活性化法を調査し、その開裂を駆動とする反応を探索する。
2)アゾ系化合物を用いた反応開発:NーO結合をもつ系のみならず、N-N結合を有する化合物の極性転換反応の可能性を探る。
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Causes of Carryover |
2018年度の計画が順調に推移したことで、消耗品の購入計画に若干の差額が生じた。差額分は、2019年度の研究計画を進めるために必要な消耗品の購入に充当する。
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Research Products
(6 results)