2020 Fiscal Year Research-status Report
Synthetic study of chiral compounds by taking advantage of an umpolung approach
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17K08216
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
宮田 興子 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 客員教授 (90102110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
品田 哲郎 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (30271513)
武田 紀彦 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (30449871)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 極性転換 / ヘテロ原子 / 結合開裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘテロ原子結合の開裂を駆動力とする極性転換反応の新展開として、本研究では光学活性化合物合成法の開発を中心とした研究を計画した。令和2年度は、触媒的不斉合成を開拓するための基質合成を引き続き検討するとともに、ヘテロ原子結合の開裂を駆動とする新反応の開発を試みた。 (1)安定なアルコキシエナミド類の合成:さまざまな反応条件下、N-アルコキシトシルエナミドの合成とその反応性について調べたが、分解反応が優先するなど現在までに良好な結果を得ることができていない。N-トシルをアシルあるいはカーバメートに置換したエナミド基質に切り替える必要があるとの結論に至った。 (2)N-アルコキシアミドを用いた新規極性転換反応の開発:α,β-不飽和-N-アルコキシアミドから誘導したビニルケテン-N,O-アセタールをアリールあるいはアルキル求核剤と反応させると、ワンポットで位置選択的に炭素・炭素結合が形成できることを見出した。極性転換反応における新らしい反応として論文発表した。 (3)N-O結合の温和な開裂法を基盤とする新反応開発:従来の極性転換反応は、NーO結合の開裂のために反応性の高いルイス酸や求核試薬を用いる必要があった。基質適用範囲を拡大にむけて、より温和な条件下、ヘテロ原子間結合を開裂する方法が望まれていた。その可能性を調べるため、遷移金属触媒を用いた結合開裂法を探索した。その結果、炭素飽和結合の異性化を引き金としてN-O結合を開裂できることを見出した。現在、炭素―炭素結合形成反応への展開について検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
触媒的不斉合成反応を検討するための基質合成がうまく進んでいない一方で、ジアステレオ選択的な合成法の開発については、想定以上の成果が得られている。遷移金属触媒を用いた温和なN-O結合反応の可能性についても知見が得られていることを含め、研究はおおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初掲げた目的はおおむね達成できたと考えている。本年度は、昨年度実施できなかった学会発表や研究成果の取りまとめを中心として、残された課題解決に引き続き取り組む。具体的には、N-O結合の開裂を駆動とする光学活性化合物の合成と遷移金属触媒を用いた新反応の開発を試みる。
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Causes of Carryover |
パンデミックの影響により研究活動が大きく制約され、研究の一部の実施および学会発表が実施できなかった。そのため研究期間を1年延長し、論文発表や成果取りまとめのために必要な経費を計上した。 、
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Research Products
(8 results)