2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of organoboronic acid catalyst for the site-selectively nucleophilic activation of hydroxy group and its application to carbohydrate chemistry
Project/Area Number |
17K08218
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
牧野 一石 北里大学, 薬学部, 教授 (20302573)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有機ボロン酸 / 触媒反応 / 位置選択的アシル化反応 / 求核性 / 糖 / イミダゾール |
Outline of Annual Research Achievements |
糖鎖合成における問題点の一つは,糖に複数存在するヒドロキシ基のうち,いかに目的のヒドロキシ基のみを化学変換するかという点である。従来の方法論では,糖が有する複数のヒドロキシ基の化学的反応性に基づいて特定のヒドロキシ基を化学変換したり,反応性の高いヒドロキシ基に一旦保護基を導入したのち,目的のヒドロキシ基を化学変換し,その後,保護基を除去するという複数の工程を経ることが行われる。いずれも,基質制御に基づくヒドロキシ基の化学変換反応であり,反応点となるヒドロキシ基を予想することが難しく,糖の化学構造に依存した方法論である。糖を用いた化学変換では,基質の構造に依存したこのようなアプローチは避けがたいものとして行われている。 我々は化学的に安定なフェニルボロン酸のオルト位にN-メチルイミダゾリル基を導入した触媒を用いることによって,グリコピラノシドのビシナルcis-ジオールのエクアトリアル位に配向したヒドロキシ基の求核性を増大させ,位置選択的にアシル基を導入する方法論を確立することができた。 本触媒反応はフコピラノシドやラムノピラノシド,アラビノピラノシド,6位ヒドロキシ基が保護された様々なガラクトピラノシドやマンノピラノシドに対して,ビシナルcis-ジオールのエクアトリアル位に配置したヒドロキシ基のみにベンゾイル化反応が進行することを確認できた。また,アシル化剤として芳香族カルボン酸や脂肪族カルボン酸,α,β-不飽和脂肪酸の酸塩化物を用いることが可能であり,さらにヒドロキシ基のカルボナートの位置選択的変換反応も可能である。 以上のように我々は,あらかじめ予測された特定のヒドロキシ基の求核性を向上させる有機ボロン酸触媒の開発に成功し,グルコピラノシドにおいてビシナルcis-ジオールのエクアトリアル位に配向したヒドロキシ基のアシル化反応やカーボナート化反応を実現した。
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