2018 Fiscal Year Research-status Report
光学活性2-ピリドンを共役酸・塩基触媒に用いた新規カスケード反応の開発と応用
Project/Area Number |
17K08219
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
山田 健 神奈川大学, 工学部, 助教 (00608367)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 2-ピリドン / イソシアニド / カスケード反応 / ニトリリウムカチオン / 有機分子触媒 / 全合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
2-ピリドンは、ジエンに共役した環状アミド構造を有し、NHは、カルボニル酸素と水素結合を形成し、C=Oは、水素結合受容体として作用する。研究代表者らは、2-ピリドンを共役ブレンステッド酸・塩基触媒として利用することを独自に発想し、これまでに、3,5,6-トリフルオロ-2-ピリドンがアルデヒドとイソシアニド、水を用いたPasserini型三成分連結反応を触媒し、効率的にα-ヒドロキシアミド体を与えることを見出している。本研究期間中では、本反応の立体選択性を制御する光学活性2-ピリドンの創出、ならびに、本反応の中間体であるニトリリウムカチオンの分子内求核性官能基による捕捉を計画した。 本年度は、前年度に引き続き、3位にイソシアノエチル基を有するインド-ルと各種アルデヒドの付加・環化カスケード反応を検討した。本反応の生成物は、不安定であり単離できなかったが、各種検討の結果、生成物に含まれるイミン構造がその不安定性の原因であることを突き止めた。すなわち、3,5,6-トリフルオロ-2-ピリドンを触媒に用いた2-イソシアノエチルインドールとピバルアルデヒドの付加・環化カスケード反応後、水素化ホウ素ナトリウムで処理することにより、73%と良好な収率で3位にスピロ環を有するインドリンが得られることを見いだした。さらに、生成物のイミンは、Ugi反応にも適用することができ、上記付加・環化カスケード反応後に、酢酸とtert-オクチルイソシアニドを添加することで、1ポットで4成分が連結したインドリンを44%収率で得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
設計した光学活性2-ピリドンの合成が容易でなかったこと、また、イソシアニドとアルデヒドの付加・環化カスケード反応の生成物が不安定であり、単離・構造決定に予定以上に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
イソシアニドとアルデヒドの付加・環化カスケード反応の基質一般性を調査する。さらに、これまでの2-ピリドンの構造・触媒活性相関の知見を基に、新規光学活性2-ピリドン触媒を合成する。このように開発する新規触媒は、上記付加・環化カスケード反応も良好に触媒すると期待される。
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Causes of Carryover |
研究代表者の異動により、当初の予定より研究の進捗が遅れ、学会発表等に見積もっていた旅費分が次年度に繰り越される形となった。 その他の研究経費は、概ね予定通り執行した。
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