2019 Fiscal Year Annual Research Report
Catalytic asymmetric synthesis of bioactive N-C axially chiral quinazolinones and their structural property
Project/Area Number |
17K08220
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
北川 理 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (30214787)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 軸不斉 / キナゾリノン / エナンチオマー / 自己不均化 / ジアステレオマー / アルキル化 / ハロゲン結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度(最終年度)は,3位窒素原子上にオルト-フルオロフェニル基を有する軸不斉キナゾリン-4-オン誘導体の構造化学的研究を行なった.その結果,2位に芳香族置換基を有するキナゾリノンは2-アルキル置換キナゾリノンと比較して,炭素-窒素軸の回転障壁が大きく低下することを見い出した.また,DFT計算により回転障壁低下の要因も明らかにした.この他に,キナゾリノとは構造が異なるものの,新たに炭素-窒素軸不斉スルホンアミドを見い出し,その高エナンチオ選択的触媒的合成にも成功している. 研究期間全体を通じ,還元的不斉非対称化反応を利用した炭素-窒素軸不斉キナゾリノン(GABA受容体アゴニストメブロカロン)誘導体の高エナンチオ選択的触媒的合成と催眠鎮静剤メタカロンへの変換,光学活性軸不斉キナゾリノン生成物のエナンチオマーの自己不均化による光学純度の向上とそのメカニズムの解明,さらには,軸不斉キナゾリノン生成物を利用したジアステレオ選択的α-アルキル化反応の開発(不斉エノラートへの適用)に成功した.生理活性軸不斉キナゾリノンの触媒的不斉合成や軸不斉キナゾリノンの不斉反応への応用は従来知られておらず,今回が初めての例となる. また,この研究の途上,オルト-フルオロフェニル基を有するキナゾリン-4-オン誘導体が安定な軸不斉構造を有することを明らかにした.このようなオルト位にフッ素原子を有する安定な軸不斉化合物は,広範な研究が行われているビアリール型アトロプ異性分子でも知られておらず,構造化学的に大きな興味が持たれる.さらに,エナンチオマーの自己不均化のメカニズムを検討していたところ,オルト-ハロフェニル基を有する軸不斉キナゾリノンの結晶において,キラリティー依存型のハロゲン結合を見い出した.
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Research Products
(11 results)