2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of novel chiral catalyst with C2 symmetric ladder-type skeleton and its application to asymmetric catalysis
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17K08226
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
齋藤 望 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (80349258)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | C2対称性 / ルテニウム / アレン / アルキン / 環化二量化 / 相間移動触媒 / 不斉アルキル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度はまず、前年度までに確立した環化前駆体である1,7-アレンインの光学活性体としての合成法を機軸とし、アレンとアルキンのリンカー部にスルホンアミド部位を有する基質の大量合成研究を進めた。その結果、アレン末端にtert-ブチル基を持ち、アルキン上に様々なアルキル基、アリール基を有するアレンインを、いずれも高い光学純度かつグラムスケールで合成することに成功した。 合成したアミド部位をリンカー部に含む光学活性アレンインを二価ルテニウム触媒存在下、トルエン中で反応させたところ、50°Cに加熱した場合にのみ環化二量化反応が進行し、対応するジアザペンタシクロテトラデカン誘導体を、ほぼ光学純品として得ることが出来た。この際、環化前駆体よりも光学純度が向上したが、恐らく、環化前駆体のマイナーエナンチオマーとメジャーエナンチオマーとの間でも二量化反応が進行したためと考察された。 得られた5環式化合物のスルホニル保護基を除去し、窒素原子のアルキル化を行った。その際、鎖状構造を有するハロゲン化アルキルはアセトニトリル中で加熱することによって反応し、対応する第四級アンモニウム塩に導くことが出来たが、ハロゲン化ベンジル系の試薬は反応性に乏しいことが分かった。そこで、還元的アミノ化とハロゲン化ベンジルとの反応を組み合わせることによってそれを克服し、目的であるビス第四級アンモニウム塩を得ることに成功した。 窒素原子上に様々な置換基を有するビスアンモニウム塩を相間移動触媒として利用し、グリシンシッフ塩基の不斉アルキル化に取り組んだ。その結果、不斉誘起能は窒素原子上の置換基に大きく影響されることが分かり、特にトリフルオロメチル基を持つベンジル体において20%程度の不斉誘起を示すことが明らかになった。このことにより、本課題の目的である、C2対称性を持つ、新規不斉反応素子の創製を達成することができた。
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