2020 Fiscal Year Research-status Report
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17K08234
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
角田 誠 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (10323453)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マイクロ化学チップ / クロマトグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
低分子生体分子の分離分析において、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は広く用いられている。しかしながら、従来HPLCにおける分離能の限界が、複雑な化合物分析を困難にしていた。そのため、さらなる高性能化を達成するためには、従来LC技術を超越する分離媒体の開発が必要とされていた。そこで、本研究において、ピラー構造を有するオンチップ液体クロマトグラフィー(ピラーアレイカラム)に着目した。ピラーアレイカラムは、チップ流路内に規則正しいピラー構造を有する分離媒体であり、試料の拡散が最小限に抑えられる。このため、従来HPLCの分離能を超越することが理論的に示されており、従来技術以上の高性能化を可能にすると考えられたからである。これまでに、ピラーアレイカラムの生体分子分離に向けた基盤技術を確立してきた。しかし、多成分生体分子の分離には、ピラーアレイカラムの周辺技術の開発が必須であった。 本年度においては、ピラーアレイカラムを用いた生体分子への適用例として、ケト酸を取り上げ、その分析法を開発した。ケト酸は生体内における様々な代謝経路に関わっており、疾患診断への応用も期待される。蛍光誘導体化試薬1,2-ジアミノ-4,5-メチレンジオキシベンゼン(DMB)とケト酸の反応条件の最適化を行った。続いて、ピラーアレイカラムによるDMB-ケト酸の分離を検討したところ、4種DMB-ケト酸は3分で分離された。さらに、本分析法をヒト血漿サンプルへ応用した結果、3種分岐鎖ケト酸を定量することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな生体分子への応用として、ケト酸の分析を行うことができるようになったことから。
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Strategy for Future Research Activity |
ピラーアレイカラムの周辺技術について、さらなる研究開発を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において、研究に必要となる物品の調達が不可能であったため。消耗品購入に使用する予定である。
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