2018 Fiscal Year Research-status Report
複数分子間の相互作用解析に基づく核内受容体ダイマー活性化の動的構造基盤
Project/Area Number |
17K08236
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 卓也 大阪大学, 薬学研究科, 准教授 (00294116)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 核内受容体 / NMR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では核内レセプターの機能に重要とされるリガンド依存的な転写共役因子認識の機構に着目し、その動的側面の解明に取り組むとともに、実際に核内レセプターが機能している際のように、複数分子が相互作用している状態を解析できるNMR実験手法の開発に取り組んでいる。本年度は、昨年度に構築したPPARgamma,RXRalphaなど複数の核内受容体のリガンド結合ドメイン試料の発現精製系を用いて、核内受容体PPARgamma/RXRalphaのリガンド結合ドメインからなるヘテロダイマーを調製し、各種リガンドの共存下におけるNMR解析を進めてきた。ヘテロダイマーの再構成法を検討し、含まれるそれぞれのレセプターに適切なリガンドを結合した状態のヘテロダイマーが作製できた。ヘテロダイマーにおいて、その一方のレセプターにリガンドが結合した場合、リガンドが結合していないレセプターにおいてもいくつかのシグナルが変化し、レセプター間で相互作用が伝達されていることが示唆された。しかし、帰属が困難なシグナルが多数存在していたため、詳細な動的構造や相互作用の解析には至っていない。その問題を解決するため、アミノ酸選択標識や同位体標識パターンが異なるヘテロダイマーを複数調製し、それらを活用した帰属を試みている。シグナル帰属の問題を解決した後、複数の転写共役因子ペプチド共存下で、核内レセプターおよびそのヘテロダイマーとの相互作用を解析していくとともに、変異体を用いたその検証に取り組む計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度はPPARgamma/RXRalphaのリガンド結合ドメインからなるヘテロダイマーの解析に重点を置いて実施してきた。15N/2H標識および13Cメチル化標識試料を用いて、リガンド結合ドメイン間で、リガンドに依存してアロステリックな構造変化が起こることを確認し、転写共役因子との相互作用が変化する様子が観測できた。一方、シグナル帰属の問題から、その詳細を明らかにするには至っておらず、今年度以降に予定していた変異体の実験を開始できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
同位体標識パターンが異なるヘテロダイマーを活用することで、シグナル帰属の問題を解決する。複数の転写共役因子ペプチド共存下で、核内受容体およびそのヘテロダイマーとの相互作用を解析していく。予定していた変異体を用いた解析に着手するとともに、ジスルフィド結合導入による状態特異的な分子ステープリングにより、核内受容体ヘテロダイマーの動的構造が、リガンドおよび転写共役因子に与える影響を評価する。
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