2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of new on-line high sensitive analytical method for advanced glycation endproducts and its application to multifaceted biological stress assessment
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17K08259
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
片岡 洋行 就実大学, 薬学部, 教授 (80127555)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 終末糖化産物 / オンライン自動分析 / 固相マイクロ抽出法 / LC-MS/MS分析 / 食品分析 / バイオマーカー / AGEs生成機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
開発した終末糖化産物(AGEs)の一斉分析法を用いた食品試料分析とAGEs生成機構について検討した。 1. AGEs測定法により15種の食品試料を分析した結果、カルボキシメチルリジン(CML)は佃煮のりや醤油、味噌などの発酵食品に多く含まれ、ワインやビールにも検出された。また、ピラリン(Pyr)も佃煮のりや味噌、ポン酢などに比較的高濃度に検出された。ペントシジンはドライフルーツに比較的多く含まれ、鰹節やパンなどにもわずかに検出された。 2. アミノ酸と還元糖とのモデル反応において、Lysとグルコース(Glc)、ガラクトース(Gal)、リボース(Rib)、フルクトース(Frc)との反応によりCMLが高濃度に生成し、カルボキシエチルリジン(CEL)やFructosyl-Lysなども確認された。また、LysとグルコサミンからPyrが検出された。一方、ArgとGlc、Gal、Rib、Frcとの反応によりG-H1やMG-H1が検出され、ArgとメチルグリオキサールからArgpyrimidineが検出された。これらのAGEsは高温で生成しやすく、経時的に増加した。また、CMLはpHが高いほど生成しやすく、LysやArgとGlcの濃度及び比率に依存することがわかった。 3. タンパク質と還元糖とのモデル反応では、アルブミン、コラーゲン、グルテン、カゼイン、ヘモグロビンなどのタンパク質とグルコサミンとの反応によりペントシジンが比較的高濃度で検出されたほか、アルブミンとGlc、Gal、Rib、Frcとの反応によりCMLやCELが、またアルブミンやカゼインとグルコサミンとの反応によりPyrが検出された。 これらの結果から、AGEsは非酵素的に生体内や食品中で容易に生成する可能性があり、生成しやすい条件を避けることが健康被害を防止することに繋がり、今後AGEs生成抑制効果のある食品の検索に展開したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
AGEsの新規オンライン自動分析法を確立して、生体試料や食品試料分析に応用できること、生活習慣との関連性を明らかにすることはおおむね達成できたが、当初予定していた各種疾患患者における生体ストレスレベルの解析にまでは至っていない。途中で、一部計画を変更してAGEsの生成機構を解析すべく、モデル系で実験を行って新規AGEsの生成を発見をしたため、現在はその生成メカニズムや生成抑制のための研究を進めている。従って、疾患レベルでの解析については最終年度までに終了できない見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発した分析方法がAGEsの生成機構を明らかにする上で有効な手段であることを見出したので、どのような条件でどのAGEが生成しやすいのか、またどのような食品にAGEsは多く含まれているのかを明らかにして、様々な抗酸化性食品摂取による糖化ストレス防御など、食生活の改善や生活習慣の改善などにより糖化ストレス予防について考察する。また、ボランティア健常人の生活習慣アンケート調査と、生体試料中の糖化ストレス及び酸化ストレス(生体ストレス)レベルを測定し、多面的な生体ストレス解析評価法としての有効性を検証する。以上より、最終年度に当たり、これまでに得られた研究成果を取りまとめて学会発表するとともに、インパクトの高い英文ジャーナルへ論文として公表する。さらに、インターネットやマスメディアを通じて、社会・国民に向けて広く研究成果とその有効性をアピールする。
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Causes of Carryover |
理由:「現在までの達成度」に記載した理由により、研究がやや遅れてしまったので、その分に使用する予定の予算が次年度使用額として生じた。 使用計画:新たなAGEs標準品の購入、食品及び生体試料分析に必要な試薬、器具類の購入、機器の修理、研究発表のための出張旅費、論文の英文校正、掲載料などに使用する予定である。
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Research Products
(23 results)