2018 Fiscal Year Research-status Report
IL-17A誘導性mRNA安定化応答が免疫疾患形成に果たす役割の解明
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17K08263
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
室本 竜太 北海道大学, 薬学研究院, 講師 (30455597)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | mRNA安定化 / IL-17 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,免疫疾患形成におけるサイトカインIL-17の役割が明らかとなりつつあるが,疾患症状が形成されるに至る経時推移の中で,IL-17が生体のどの部位のどの細胞にどのような時間的タイミングで作用し病態を形づくっていくのかはよくわかっていない.IL-17応答の発生を生体内で観察する手法を確立することで,自己免疫やアレルギー疾患形成メカニズムの理解を深めることができると考えられる.平成30年度は昨年度に作出したIL-17誘導性mRNA安定化応答を原理として蛍光レポーターを発現する新規トランスジェニックマウスの性状を解析し,IL-17依存性皮膚炎症モデルであるイミキモド塗布による皮膚炎の病変部においてレポーター発現が増加したことを確認できた.一方検出感度の観点で課題が残っている状況である.IL-17によるmRNA安定化作用の分子機構の詳細についてはIL-17誘導性mRNA安定化応答を検出するレポーター遺伝子を培養細胞に導入することでIL-17応答のin vitro評価系を確立しその系を利用し解析を進めた.IL-17によるmRNA安定化作用の分子機構として,細胞内で恒常的活性をもつRNA分解酵素のひとつであるRegnase-1の機能阻害が含まれることを見出した.また,IL-17のもつmRNA安定化作用を促進または抑制する低分子化合物をそれぞれ同定した.これらの化合物はIL-17誘導性mRNA安定化作用を介して起こる炎症反応を人為的にコントロールするために将来的に有用である可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitro評価系を用いた分子機構解析が順調に進行しその成果の一部をまとめた学術論文を投稿中である.培養細胞でのレポーター実験による探索を進め,IL-17誘導性mRNA安定化応答を抑制する化合物および促進する化合物を新たに見出すことができ,IL-17が作用を発揮するメカニズム解明のためのさらなる手がかりが得られた.昨年度作出した新規レポーターマウスでは,in vivo炎症モデルでのレポーター発現増加が検出された.以上より本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究計画に則り新規レポーターマウスを用いin vivoでIL-17誘導性mRNA安定化応答を解析する検討を進める.新たに見出したIL-17誘導性mRNA安定化応答を抑制または促進する化合物について作用メカニズムの理解を深めるために解析を進める.IL-17依存性の疾患マウスモデルにて当該化合物の効果を調べ有用性の検証を行う.
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Causes of Carryover |
当初は年度内に購入予定であった試薬類を研究遂行の都合上新年度に購入することとしたため. 次年度使用額として生じた金額分については翌年度分と併せて分子生物学実験試薬,生化学実験試薬,細胞培養関連消耗品,実験動物購入,学会発表旅費および論文投稿費として使用する.
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Research Products
(6 results)