2018 Fiscal Year Research-status Report
Autoantibodies against aquaporin-5 in the sera from patients with Sjögren's syndrome.
Project/Area Number |
17K08290
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
礒濱 洋一郎 東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (10240920)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 免疫学 / 臨床 / シェーグレン症候群 / アクアポリン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに,シェーグレン症候群(SjS)患者の血清中に,外分泌腺に選択的に存在する水チャネルであるアクアポリン5(AQP5)に対する自己抗体が高確率で存在していることを見出してきた.また,少なくとも一部のSjS患者由来のAQP5自己抗体は,内因性のAQP5をもつ肺上皮由来のMLE12細胞を標本とした実験で,細胞膜上のAQP5の細胞内取り込みを促進することも明らかにしてきた. 本年度はまず,このSjS患者由来の自己抗体によるAQP5の細胞内取り込みの特徴に焦点を当てた.SjS患者のIgG分画を処理した細胞では,AQP5の細胞内局在が蛍光免疫染色法による観察で明確に認められ,この細胞内のAQP5の局在は早期エンドソームマーカーであるEEA1と一部一致した.また,タンパク合成阻害薬であるcycloheximide存在下に細胞内の総AQP5量を検出すると,患者IgGの処理によって速やかに減少し,この減少はリソソーム阻害薬の併用によって抑制されたことから,自己抗体の結合したAQP5は細胞内へと取り込まれ,リソソーム系で分解されると推定された.これまでに,実際のSjS患者の涙腺についての病理組織学的な検討で,一部の患者のAQP5は細胞膜から細胞質への局在変化が生じているとの報告がなされているが,今回の実験結果は,このAQP5の細胞内局在異常と類似の現象を捉えている可能性が考えられた. 一方,対照疾患としてSjSを合併しない関節リウマチ患者について同様の検査を実施したが,リウマチ患者に抗AQP5自己抗体は全く検出されず,抗AQP5抗体がSjSに選択的である可能性が考えられた.これらの成績は,SjSに特徴的な外分泌機能障害の発症機序の解明のために重要な知見である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の当初の予定では,SjS患者の血清中に存在する抗AQP5抗体のエピトープを決定することを目標の1つとしていた.これを達成するために,AQP5の細胞外領域の配列を含んだ短鎖ペプチドをデザインし,抗体とAQP5の結合阻害実験を実施したが,今回用いたいずれのペプチドにも阻害活性は認められなかった.また,患者IgGを一次抗体に用いたWestern blotでもAQP5と抗体の免疫複合体は検出されず,患者の自己抗体は,4量体として細胞膜上に存在するAQP5の細胞外領域の高次構造を認識すると推定されたものの,エピトープの決定には至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究にとって,SjS患者が保有する抗AQP5自己抗体のエピトープを同定することは最も重要な課題の一つである.今後は戦略を変更し,細胞外領域に種々の点変異を挿入した変異AQP5を作製し,自己抗体との反応性の変化を調べることで,エピトープの決定を目指す予定である.また,同定されたエピトープに対するモノクローナル抗体を新たに作製し,本抗体をマウスに投与することによって,SjS様の外分泌機能異常を発症するか否かを,主にコリン作動薬で誘発する発汗を指標として検討する予定である.
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Research Products
(35 results)