2018 Fiscal Year Research-status Report
ノンジェノミックな新規レチノイン酸作用機構の解明とその応用研究
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17K08292
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
高橋 典子 星薬科大学, 薬学部, 教授 (50277696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 正彦 星薬科大学, 薬学部, 助教 (40507670)
長谷川 晋也 星薬科大学, 薬学部, 助教 (60386349)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | レチノイン酸 / レチノイル化 / 蛋白質修飾 / シグナル伝達 / プロテインキナーゼA / ノンジェノミック |
Outline of Annual Research Achievements |
栄養素であるビタミンAは、食品から摂取され、生体内に吸収・代謝された後、レチノイン酸 (活性型ビタミンA酸、RA) となる。RAは個体発生、細胞分化等、生命の誕生・維持に深く関わる。また、RAがヒト前骨髄性白血病細胞 (HL60細胞) を顆粒球様細胞に分化誘導させることから、現在急性前骨髄球性白血病 (APL) 患者の治療に使われている。RAの作用はRA核内受容体とRAの複合体による転写発現調節機構のみで説明されるが、この経路では説明できない事象が多く報告されている。RAの核内受容体を介さないノンジェノミックな作用機構として、RAが蛋白質と共有結合するレチノイル化反応 (RAによる蛋白質修飾) が見出され、プロテインキナーゼA (PKA)、G蛋白質制御因子、アクチニン等がレチノイル化されていることが明らかにされている。今年度はRAによるHL60細胞の分化誘導に伴うアクチニン蛋白質の動態について検討を行った。先ず、RA処理したHL60細胞の粗抽出液中の蛋白質をMonoQカラムで分離し、α-アクチニン含有フラクションを用いて抗アクチニン-1 或いは 抗アクチニン-4抗体で免疫沈降を行い、沈殿を抗RA抗体で免疫染色したところ、アクチニン-4のみが検出された。また、アクチニン-4の遺伝子発現量はRA処理で変わらず、蛋白質発現量は、未処理細胞では経時的に変化したものの、RA処理細胞では変わらなかった。またシクロヘキシミド処理した細胞中のアクチニン-4蛋白質発現量は、RA処理した場合には維持された。さらにRA処理によりユビキチン化アクチニン-4は減少していた。現在、RAとユビキチンにより修飾されているアミノ酸の同定を行っている。一方、二次元電気泳動、抗リン酸化-PKA基質抗体、及びMS解析を用いてPKAによりリン酸化される核内蛋白質の同定を行い、現在同定された蛋白質の抗体を用いて確認を行っている。以上、細胞分化に蛋白質修飾反応が深く関わっている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、修飾アミノ酸の同定を行うにあたり、レチノイル化蛋白質、及びPKAによりリン酸化される蛋白質の精製と、蛋白質分解酵素の反応条件設定に時間と労力を要している。また、二次元電気泳動を用いたPKA基質蛋白質の同定は、現在のところほぼ計画通りに進んでいる。蛋白質を扱う研究はある程度の蛋白質量が必要で、忍耐力を必要とするが、計画通りに着実に結果を出していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
レチノイル化蛋白質とPKA によりリン酸化される蛋白質の新たな同定を行ってきたが、細胞分化におけるレチノイル化、リン酸化の役割を知るためには、修飾部位 (アミノ酸) を特定することが必須である。そこで先ず、レチノイル化PKAによりリン酸化される核内蛋白質を同定し、リン酸化部位をペプチドマップ法で特定する。同定した蛋白質のリン酸化による遺伝子発現調節への影響を詳細に調べ、核内蛋白質のレチノイル化の生理的意義を解明していく。即ちその蛋白質における修飾の意味を解明していく。また、PKAによりリン酸化される可能性のある候補核蛋白質がPKAによりリン酸化されているかを、免疫染色法、二次元電気泳動、Ms解析を用いて検討する。さらに、遺伝子の発現調節に関わるヒストンのアセチル化、メチル化、ユビキチン化などの修飾反応に及ぼすRAの影響を調べ、RA受容体を介さないRAのノンジェノミックな作用機構を蛋白質修飾という観点から解明する。最終的には、見出した修飾蛋白質自身、或いは、蛋白質修飾を制御する因子に対し、医薬品としての可能性を検討する。
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Causes of Carryover |
当初平成30年度に計画していた核内レチノイル化PKAによりリン酸化される核内蛋白質の同定とレチノイル化蛋白質の同定を行うために、核蛋白質を二次元電気泳動で分離し、SYPROで染色後、ブロッティング、免疫染色を行い、検出できた蛋白質に対しMS 解析を行っている。この二次元電気泳動解析に時間と労力を要したため、これら蛋白質の同定とヒストン修飾解析が年度を跨ぐことになったことから、経費を繰り越すこととなった。
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Research Products
(19 results)