2017 Fiscal Year Research-status Report
IgA産生制御に働く腸内細菌の同定とそのメカニズム解析
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17K08301
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
鈴木 英彦 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 ワクチン・アジュバント研究センター, プロジェクト研究員 (10710296)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / 粘膜免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管は’内なる外’と称されるように絶えず腸内細菌や病原体などの外来因子に暴露されている。そのため、腸管では有害な異物を排除するために腸管免疫が備わっている。中でもIgAは管腔において病原体や毒素などと結合することで外来因子の体内への侵入抑制、排除に働いている。近年では腸内細菌は腸管免疫を刺激することで、その発達や機能制御に関わっていることが知られている。申請者はこれまでに異なるブリーダーから購入した同齢、同系のマウスの糞便中のIgA産生を比較したところ、ブリーダー間でIgA産生性が異なることを明らかにしている (糞便IgA量の高いマウスをIgA-highマウス、低いマウスをIgA-lowマウスと称する)。さらに、この違いは腸内細菌叢に由来しており、IgA産生の抑制に働くIgA制御菌候補を腸内細菌叢解析から絞り込んでいる。本研究の初年度ではIgA制御菌の同定を主な検討項目として行った。 IgA制御候補菌 (Bacteria Aと称する)をIgA-highマウスに経口投与し、糞便IgA量を測定したところ、Bacteria Aを投与したマウスでは糞便IgAの低下が認められた。このことから、Bacteria AはIgA産生抑制に働くIgA制御菌であることが明らかになった。 また、IgA産生低下のメカニズムに関してIgA-highマウス、IgA-lowマウスの各種免疫担当細胞を検証したところ、IgA-lowマウスでは免疫制御に働くTregが多く存在しているなどの特徴が認められた。今後はBacteria AによるIgA制御メカニズムに関して、Bacteria Aの特徴および免疫担当細胞の変化を照らし合わせていくことで解析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度では主にIgA制御菌の同定を行い、Bacteria AがIgA産生抑制に働く腸内細菌であることを明らかにした。また、IgA-highマウスおよびIgA-lowマウスを比較することで特徴的な免疫担当細胞の違いに関しても情報収集し、本年度以降予定しているBacteria AによるIgA産生低下メカニズム解析に向けて、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度ではBacteria AがIgA産生抑制に働く腸内細菌であることを同定した。次年度ではBacteria AによるIgA産生抑制メカニズムに関して、マウスに経口投与した際の免疫担当細胞への影響を検証する。さらに、各種免疫担当細胞にBacteria Aやその産生物などを添加し、サイトカイン産生や細胞分化などを解析する。
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Causes of Carryover |
国内、国際学会で幅広くその成果を発表する予定であったが、同定したIgA制御菌のメカニズムに関して未解明な点が多いため、研究に重点をおいたため未使用額が生じた。本年度ではその点を解明し、幅広く本研究成果を国内、国際学会で発表するために未使用額を充てることを予定している。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Impaired airway mucociliary function reduces antigen-specific IgA immune response to immunization with a claudin-4-targeting nasal vaccine in mice2018
Author(s)
Suzuki H, Nagatake T, Nasu A, Lan H, Ikegami K, Setou M, Hamazaki Y, Kiyono H, Yagi K, Kondoh M, Kunisawa J
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 8
Pages: 2904
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] 17,18-EpETE-GPR40 axis ameliorates contact hypersensitivity by inhibiting neutrophil mobility in mice and cynomolgus macaques2017
Author(s)
Nagatake T, Shiogama Y, Inoue A, Kikuta J, Honda T, Tiwari P, Kishi T, Yanagisawa A, Isobe Y, Matsumoto N, Shimojou M, Morimoto S, Suzuki H, Hirata S, Steneberg P, Edlund H, Aoki J, Arita M, Kiyono H, Yasutomi Y, Ishii M, Kabashima K, Kunisawa J
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Journal Title
Journal of Allergy and Clinical Immunology
Volume: S0091-6749
Pages: 32949-32944
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research