2017 Fiscal Year Research-status Report
脂質代謝異常症の病態制御におけるセラミドキナーゼの役割解析と創薬への応用
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17K08303
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中村 浩之 千葉大学, 大学院薬学研究院, 准教授 (20447311)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | セラミドキナーゼ / セラミド-1-リン酸 / 脂質代謝異常症 |
Outline of Annual Research Achievements |
セラミドキナーゼはセラミドをリン酸化してセラミド-1-リン酸を産生する酵素である。本研究では脂質代謝異常症の原因遺伝子を欠損した細胞や、患者さんに由来する皮膚線維芽細胞を用いて、病態細胞と対照細胞におけるセラミド代謝を解析した。蛍光標識セラミド (NBD-セラミドまたはBODIPY-セラミド) を細胞に取り込ませてインキュベートし、脂質抽出後、薄層クロマトグラフィーで分離し、NBDまたはBODIPYの蛍光をイメージアナライザーにて検出した。その結果、対照細胞に比べて病態細胞においてセラミド-1-リン酸の産生が上昇していることが判明した。その他セラミド代謝物の産生に大きな違いは見られなかった。セラミド-1-リン酸の産生が上昇するメカニズムを解明することを試みたところ、対照細胞と病態細胞との間にセラミドキナーゼのmRNA量や細胞内局在に違いは見られなかったが、蛍光標識セラミドの細胞内局在に違いがあることが明らかになった。具体的には、正常細胞において蛍光標識セラミドは主にゴルジ体に局在していたが、病態細胞においてはエンドソームに局在する様子が観察された。また、セラミドキナーゼは両細胞において主にプラズマメンブレやエンドソームに局在しており、病態細胞においては蛍光標識セラミドとセラミドキナーゼがエンドソームで共局在する様子が観察された。従って、病態細胞においてセラミドキナーゼとセラミドが共局在することでセラミド-1-リン酸の産生が上昇していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂質代謝異常症において、セラミド-1-リン酸の産生が上昇するメカニズムの一端が明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
病態細胞におけるセラミドキナーゼのmRNA量は対照細胞と比べて大きな違いはなかったが、蛋白質発現量については解析できていない。現在、セラミドキナーゼの抗体を作製しているため、抗体が作製でき次第、検討する予定である。また、病態マウスにおけるセラミドキナーゼの役割についても解析を進める。
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Research Products
(19 results)