2018 Fiscal Year Research-status Report
2価鉄動態を切り口にした逆行性輸送異常と神経細胞死の分子機序の解明と創薬研究
Project/Area Number |
17K08311
|
Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
位田 雅俊 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (70512424)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 2価鉄 / パーキンソン病 / DMT1 / VPS35 / 逆行性輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
家族性パーキンソン病患者よりvacuolar protein sorting-associated protein 35(VPS35)が原因遺伝子として同定された。VPS35機能異常により逆行性輸送の破綻が考えられる。しかし、この輸送経路は比較的近年に同定された経路であり、分子機構や疾患への関与など解析が遅れているのが現状である。未だVPS35機能異常とパーキンソン病発症との因果関係を示す有力な説は少ないが、divalent metal transporter 1(DMT1)のミスソーティングという報告がある。DMT1は、2価鉄(Fe2+)の細胞内取込みおよびエンドソーム内のFe2+をオルガネラへ輸送する際に重要な役割を担っている。本研究ではオルガネラ特異的なFe2+蛍光プローブを活用し、Fe2+動態を可視化することで、VPS35を含む逆行性輸送経路異常とPD発症機序の因果関係を解明し、新規の創薬基盤を創出することである。これまでに、リソソームおよびゴルジ体特異的なFe2+プローブを活用して、siRNA法によりVPS35をノックダウンさせたSHSY5Y細胞において、VPS35機能異常により、DMT1のミスソーティングが起こることで、リソソームへのFe(II) イオンの蓄積が起きたことを可視化することができた。本年度は、より病態との関連を明らかにするため、変異VPS35発現のSHSY5Y細胞においても同様の検討をした。結果、ノックダウン時と同様なリソソームへの蓄積を確認できた。さらにリソソームへのFe2+異常蓄積をレトロマー安定化化合物であるR55処置することで改善することを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果として、VPS35を含む逆行性輸送経路異常とパーキンソン病発症機序の因果関係を解明を目指すために、VPS35機能異常とFe(II) 動態の錯乱に関する以下の新知見を見出した点において順調に伸展していると考えている。まず、変異型のVPS35を発現するSHSY5Y細胞において、VPS35ノックダウン時と同様に、DMT1のミスソーティングが起こり、DMT1がリソソームへ蓄積することを確認できた。また、オルガネラ特異的なFe2+蛍光プローブを用いて、Fe2+蛍光プローブの蛍光強度がゴルジ体で低下した一方で、リソソームにおいては上昇したことを明らかにすることができた。さらに化合物R55を処置することでその異常蓄積を抑制できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
申請書に従って、さらに現状を鑑み、以下のように研究を遂行していく。本年度は、これまでに上記で見出したVPS35機能異常とFe(II) 動態の錯乱に関する結果について、よりパーキンソン病の病態に近づけるため、「条件付き不死化ヒト中脳細胞系(LUHMES)」を用いて本研究結果の普遍化させる。また、VPS35以外のパーキンソン病原因遺伝子に関しても検討を実施する。In vivo実験系の準備を対応していく。
|