2017 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞及び筋萎縮性側索硬化症を標的とした新規脳保護薬の検討
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17K08317
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石毛 久美子 日本大学, 薬学部, 教授 (40212873)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 保護薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスにローズベンガルを投与後、緑色レーザー光を照射すると、照射部位の血管内に血栓が生じる。これを利用し、中大脳動脈に血栓を生じさせた脳梗塞モデル(ローズベンガルモデル)において、GR103691(GR)関連化合物の保護効果に関して、行動薬理学的に検討するとともに、保護メカニズムを検討する一環として光照射後(梗塞誘導後)の細胞死に関与する経路について検討した。行動試験に先立って、梗塞巣の出現をタイムコースとともに確認したところ、10分間の光照射1時間後には、照射側の前頭部に梗塞巣が出現していた。また、24時間後の梗塞巣は、1時間後より明らかに拡大していたが、72時間後との間には差が認められなかった。自発運動量および立ち上がり回数は1時間後に最も低下し、その後、回復していったが72時間後でもsham群(光照射のみ行わないマウス)より低下していた。テイルサスペンション試験、抵抗性試験及び行動停止時間をもとにした神経障害スコアは1時間後に最も高く、その後低下したが、72時間後でもsham群より有意に高かった。GR関連化合物の1つである化合物Aの塩酸塩(10 mg/kg)は、24時間後の脳梗塞体積を顕著に縮小させ、行動薬理試験のスコアを改善した。この障害改善作用は、エダラボン(10 mg/kg)と同程度か強い傾向を示した。また、ウエスタンブロット法により、梗塞巣出現の初期に、梗塞領域においてNrf2の発現が上昇する可能性が示唆された。 HT22細胞においては、まず、グルタミン酸により酸化ストレス誘発細胞死に対する及ぼすエダラボン、GR、化合物Aおよび化合物Aの塩酸塩の濃度依存的な保護効果を確認した。曝露初期(細胞死が確認されるまでの時間)のNrf2関連タンパク質の発現に関して、ウエスタンブロット法による検討を開始しているが、結果の公表は次の機会にしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請書に記載した実施計画・方法に従って遂行中である。29年度実施予定の項目のうち、脳梗塞モデルの行動障害に及ぼす影響については、順調に検討が進んでいるが、認知機能の測定が実施できていない。当初、行動障害と認知機能の測定は、同一マウスで実施することを考えていたが、スケジュールの都合等で、別のマウスで測定することとしたためである。HT22細胞における検討においては、現在、曝露初期(細胞死が確認されるまでの時間)のNrf2関連タンパク質の発現に関して、ウエスタンブロット法により検討中であるが、ばらつきが大きいため、結論を示す段階に至ってはいない。この点に関しては当初の想定より例数を多くして結論を出したいと考えている。これらにより、計画より、やや遅れているが、全体としては大きな問題にはならないと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り、昨年度、計画書に記載した項目に従って、遂行しているが、一部、進行が遅れているところ、及び、実施できていないところがある。今年度は、この点を含め、計画書に従った遂行ができると考えており、現段階での計画変更は不要であると考えている。
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Causes of Carryover |
購入予定のALSモデルマウス(自家繁殖用の親)を無償で譲渡してもらえることになったため、繰越金が発生した。繰越金は、消耗品費(抗体等の購入)に不足が生じることが予想されるため、それに充当する予定であり、使用計画の大きな変更はない。
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Research Products
(2 results)