2018 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞及び筋萎縮性側索硬化症を標的とした新規脳保護薬の検討
Project/Area Number |
17K08317
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石毛 久美子 日本大学, 薬学部, 教授 (40212873)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | Nrf2 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
GRおよび化合物Aの保護メカニズムを中心に検討した。HT22細胞における検討では、昨年に引き続き、HT22細胞にグルタミン酸を曝露し、その後のNrf2発現量に関して、曝露後6時間までの全細胞抽出液、核抽出液、および核を除く細胞抽出液の3種の抽出液をサンプルとしてWestern blot で検討した。なお、グルタミン酸曝露6時間後は、LDHアッセイにより、一部の細胞がすでに死に至っている時間であること、および、その後の2時間(グルタミン酸曝露後6~8時間)で死細胞が急激に増加することを確認している。Nrf2の発現量は、グルタミン酸曝露6時間後までの調べた全ての時間において、3サンプルともに変化は認められなかった。これまでの全ての結果を総合的に考えると、本細胞死に伴ってNrf2が変化する可能性は低いと思われた。一方、この検討の過程で、細胞死の進行に伴って変動する因子を見出しているが、この点については、現在、関連因子の動態とあわせて検討中であるので、公表を次の機会とする。 ローズベンガル投与と緑色光照射による脳梗塞マウスにおいても引き続き検討してきたが、1回に作成できるモデルの頭数が限られていることに加え、ばらつきも大きいため、結論を得られていないが、Nrf2の発現が変動する可能性を否定できない。したがって、Nrf2は、HT22細胞におけるグルタミン酸誘発細胞死とは、関与の仕方が異なっている可能性がある。これまで、エダラボンを含めた保護薬の影響などから、マウス脳梗塞モデルおよびHT22細胞におけるグルタミン酸による細胞死のメカニズムは、ほぼ、共通であると考えてきたため、今後、keap1等、関連因子を網羅的に調べ(現在、進行中)慎重に結論を出したいと考えている。 なお、本結果の一部を本年秋の学会で発表する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請書に記載の計画にしたがって遂行しているが、特にSOD1マウスにおける検討に関して当初の計画より遅れている。理由は、ddYマウスにおいて投与後の薬物血中濃度、および脳内濃度の時間推移に関して予備的な検討をしたところ、投与薬物が非常に速く、予想以上のスピードで消失するという結果となったためである。(今後、例数の追加が必要であるが、現段階では、例数が揃っておらず統計処理もできないので詳細なデータの公表は控える)。したがって、SOD1マウスに投与するためには、投与間隔等の見直しが必要であると考えられた。モデルマウスは特に、貴重であるため、慎重に進めようとして、遅れてしまったが、最終報告には間に合うように投与していく予定であるので、計画の見直しを伴うような遅れではないと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
前述の通り、申請書に記載の計画にしたがって遂行している。一部進行が遅れているところ、および、実施できていないところもあるが、最終年度である今年度に挽回できると思われ、計画の変更は不要であると考えている。
|
Causes of Carryover |
昨年度は、消耗品の購入を抑えることができたため、繰越金が発生した。今年度は、昨年度の検討中に見出した細胞死経路について検討するため、当初の計画にはなかった抗体を購入予定であり、繰越金はそのために充当する予定である。
|