2021 Fiscal Year Annual Research Report
Fundamental research for the prevention of dementia using glycine betaine
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17K08321
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
平松 正行 名城大学, 薬学部, 教授 (10189863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
衣斐 大祐 名城大学, 薬学部, 准教授 (40757514)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | トリメチルグリシン / ベタイン / GAT2 / GABAトランスポーター / Neuro2A細胞 / アルツハイマー型認知症 / アミロイドβタンパク質 / 神経保護効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー型認知症の脳内では、アミロイドβ(Aβ)の蓄積が原因となる老人斑とタウたんぱくの異常リン酸化が原因となる神経原線維変化が認められる。我々はこれまでに、Aβの活性フラグメントであるAβ(25-35)をマウス脳室内に投与すると、認知機能の障害、海馬の脂質過酸化および神経細胞死が認められ、これらはトリメチルグリシン(ベタイン)の前処置により抑制されることを明らかにした。また、ベタインはGABAトランスポーターであるGAT2によって細胞内に取り込まれることが分かっている。我々の研究結果から、マウス脳室内にAβ(25-35)を投与された海馬では、神経細胞のGAT2の発現が顕著に増加していた。そこで、GAT2過剰発現Neuro2A細胞を作出し、Aβ(25-35)およびH2O2処置による細胞障害の変化を調べたところ、Aβ(25-35)およびH2O2処置による細胞死は、コントロール細胞と比較し、GAT2発現細胞では有意に抑制されていた。このことからGAT2は、Aβ(25-35)による細胞障害に対して保護的に働いていることを示唆した。次にGAT2の発現とベタインの取り込み量の関係を、GAT2過剰発現Neuro2A安定細胞株に蛍光標識されたベタイン(FAM-ベタイン)を処置したところ、GAT2発現レベルと取り込まれたベタイン量の間に正の相関が認められた。Aβ(25-35)を脳室内に投与した海馬にFAM-ベタインを微量投与すると、海馬のNeuN陽性神経細胞で蛍光シグナルが強く認められた。以上の結果から、ベタインは神経細胞に選択的に取り込まれ、神経保護効果を示すことが示唆された。また、マウス脳内および培養細胞の培地中には内因性のベタインが存在することを踏まえると、GAT2発現増加に伴い、体内に存在する内因性ベタインの細胞内取り込み量が増加し、神経保護効果を発揮する可能性が考えられる。
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