2019 Fiscal Year Annual Research Report
Roles of HMGB1, a nuclear protein, in axonal regeneration after nerve injury
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17K08325
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
関口 富美子 近畿大学, 薬学部, 准教授 (90271410)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | HMGB1 / 神経突起伸長 / トロンボモジュリン / トロンビン / RAGE / 神経損傷 / Angiopoietin-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
核内タンパクHMGB1は活性化マクロファージ(Mφ)や壊死細胞などから細胞外へ放出されるとRAGEやTLR4などの受容体を介して炎症反応や痛みを増強する。近年、細胞外に放出されたHMGB1が神経突起伸長を促進することが示されていることから、本研究課題ではHMGB1の神経軸索再生機構について詳細に検討した。H29-30年度における検討から、HMGB1はマウス後根神経節(DRG)の初代培養神経細胞の神経突起伸長をRAGEを介して促進すること、また、坐骨神経を挫滅させたマウスから数日後に摘出したDRG神経では、Sham処置マウスに比べ有意に突起伸長が増加しており、この反応には神経損傷部位に集積したMφから遊離されるHMGB1が関与するが、DRG神経自体から放出されるHMGB1は寄与しないことを示唆する結果が得られた。R1(H31)年度は、HMGB1を吸着するとともに、トロンビン(TB)によるHMGB1分解を促進することが示されているトロンボモジュリン(TM)の細胞外ドメインで構成された遺伝子組み換えTM-alfa(TMα)のHMGB1誘起神経突起伸長におよぼす影響を検討した。また最近、TMのTB結合部位に結合し、TM依存性のTB活性増強効果を阻害することが報告されたangiopoietin-1(Ang-1)の効果についても検討した。その結果、TB存在下では、TMαのHMGB1吸着効果に加え、TMαの別の部位に結合したTBによりHMGB1分解が促進され、HMGB1による神経突起伸長が強く抑制されることが分かった。このTMαとTBの相乗的なHMGB1誘起神経突起伸長抑制効果は、Ang-1存在下で消失したことから、Ang-1によるTMαとTBの結合阻害がTBによるHMGB1分解を減弱することが示唆された。これらの結果は、神経損傷後の軸索再生における内因性HMGB1の役割を示唆するもので、神経軸索再生の治療戦略における新たな標的分子を提案する知見である。
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Research Products
(1 results)