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2017 Fiscal Year Research-status Report

大腸菌を宿主とした抗結核薬・抗癌剤の実用レベル高生産システムの構築

Research Project

Project/Area Number 17K08334
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

熊谷 孝則  広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 准教授 (70274058)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords抗結核薬 / D-サイクロセリン / 抗癌剤 / ヒドロキシウレア / 異種生産
Outline of Annual Research Achievements

本年度は, 抗癌剤であるヒドロキシウレア(HU)の大腸菌を宿主とした生産系の構築を目標とし, HU生産系の構築に先立ち, その前駆体であるNG-ヒドロキシ-L-アルギニン(NHA)の生産系の構築を行った。
まず, NHAの生産に必要であるホウレン草由来のフェレドキシン(FDX), および, フェレドキシン還元酵素(FDR)について, それらの大腸菌における発現性を調査した。コドンのバイアスを考慮し, FDXおよびFDRをコードする人工遺伝子を作製し, 大腸菌で発現させた結果, 両タンパク質は可溶性タンパク質として良好に発現することが明らかになった。また, 精製したFDXおよびFDRについて, 吸収スペクトルを解析した結果, それぞれが属するタンパク質ファミリーに特有のスペクトルを示したことから, 両タンパク質は活性を保持した状態で発現しているものと考えられた。
ホウレン草由来のFDXおよびFDRに加え, NHA生産系の構築には, NADPH再生酵素であるZwfが必要である。そこで, Zwfを大腸菌で発現させた結果, 本タンパク質は可溶性のタンパク質として良好に発現した。また, 精製したZwfについて, NADPHの再生活性を340 nmの吸収を測定することにより調査した結果, NADPH再生活性を保有することが明らかになった。なお, NHAの生産には, アルギニンの水酸化を触媒する放線菌由来のDcsAが必須であるが, 本タンパク質の大腸菌での発現性は既に調査済みである。
以上の結果を受けて, FDX, FDR, ZwfおよびDcsAをコードする遺伝子を大腸菌に導入することで, NHA生産系の構築が可能になると考え, それらをコードする遺伝子を同時に大腸菌に導入し, NHA生産用大腸菌を構築した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は, ホウレン草由来のFDXおよびFDRをコードする遺伝子(fdxおよびfdr), NADPH再生酵素Zwfをコードする遺伝子(zwf), アルギニン水酸化酵素DcsAをコードする遺伝子(dcsA), および, NHA加水分解酵素DcsBをコードする遺伝子(dcsB)を大腸菌に同時に導入し, 大腸菌を宿主とした抗癌剤HUの生産系の構築を計画した。
本年度の成果としては, まず, 人工遺伝子として作製したfdxおよびfdrを大腸菌に導入することにより, 両タンパク質ともに活性を保有すると考えられる構造で発現させることに成功した。また, Zwfについては, 大腸菌において活性を保持する構造で発現させることができた。これらの結果を受け, fdx, fdr, zwfおよびdcsAを大腸菌に同時に導入することにより, NHA生産用大腸菌を作製することができた。本年度の目標は, NHA生産用大腸菌にdcsBを導入し, 抗癌剤HUの生産系を構築することであったが, これについては達成することができなかった。しかしながら, NHA生産用大腸菌にdcsB遺伝子を導入するのみで完了することから, ほぼ概ね達成できたものと考えられる。

Strategy for Future Research Activity

ほぼ概ね計画通りに研究が遂行されていることから, 推進方策について大きな変更はない。ただし, 本年度で計画していた「大腸菌を宿主とした抗癌剤HUの生産系の構築」については, 次年度に行うことにする。「大腸菌を宿主とした抗癌剤HUの生産系の構築」は, 本年度作製したNHA生産用大腸菌にdcsB遺伝子を導入するのみでよいことから, 比較的容易に完了するものと考えている。したがって, 上述した研究を一部追加はするものの, 次年度に予定していた計画を変更することなく研究を遂行できるものと考えている。

Causes of Carryover

NHA生産用大腸菌の作製までは完了したものの, NHA生産用大腸菌にdcsB遺伝子を導入することにより, 抗癌剤HUの生産系の構築を本年度に行うことができなかったため, それらに関わる費用が次年度使用額として生じた。
生じた次年度使用額については, 「NHA生産用大腸菌にdcsB遺伝子を導入することによる抗癌剤HUの生産系の構築」の目的のためのみに使用し, その他の目的のためには使用しない。その他の予算については, 当初に計上した通りであり, 変更はない。

  • Research Products

    (7 results)

All 2018 2017

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (5 results)

  • [Journal Article] The expression of bacteriocin production and self-resistance in Lactobacillus brevis 174A is mediated by two regulatory proteins2018

    • Author(s)
      Noda, M., Miyauchi, R., Danshiitsoodol, N., Matoba, Y., Kumagai, T., and Sugiyama, M.
    • Journal Title

      Appl. Environ. Microbiol.

      Volume: 84 Pages: e02707-02717

    • DOI

      10.1128/AEM.02707-17

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Characterization of exopolysaccharides produced by thermophilic lactic acid bacteria isolated from tropical fruits of Thailand2017

    • Author(s)
      Panthavee, W., Noda, M., Danshiitsoodol, N., Kumagai, T., and Sugiyama, M.
    • Journal Title

      Biol. Pharm. Bull.

      Volume: 40 Pages: 621-629

    • DOI

      10.1248/bpb.b16-00856

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Streptomyces achromogenes subsp. streptozoticusのゲノム解析による抗真菌化合物の発見2018

    • Author(s)
      中村和音, 山本美也子, 黒田照夫, 杉山政則, 熊谷孝則
    • Organizer
      日本薬学会第138年会
  • [Presentation] ストレプトゾトシン(STZ)生産菌Streptomyces achromogenes subsp. streptozoticusのゲノム解析2017

    • Author(s)
      山本美也子, 黒田照夫, 杉山政則, 熊谷孝則
    • Organizer
      第29回微生物シンポジウム
  • [Presentation] ストレプトゾトシン(STZ)生産菌Streptomyces achromogenes subsp. streptozoticusのゲノム解析と生合成遺伝子の探索2017

    • Author(s)
      山本美也子, 黒田照夫, 杉山政則, 熊谷孝則
    • Organizer
      2017年度日本放線菌学会大会
  • [Presentation] 大腸菌を宿主としたNG-ヒドロキシ-L-アルギニン生産系構築の試み2017

    • Author(s)
      折川明日美, 山本美也子, 黒田照夫, 杉山政則, 熊谷孝則
    • Organizer
      第69回日本生物工学会大会
  • [Presentation] 大腸菌を宿主としたNG-ヒドロキシ-L-アルギニン生産系の構築を指向した基礎研究2017

    • Author(s)
      折川明日美, 山本美也子, 黒田照夫, 杉山政則, 熊谷孝則
    • Organizer
      第56回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会 中国四国支部学術大会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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