2017 Fiscal Year Research-status Report
Biosynthetic studies of aromatic polyketides to overcome tetracyclin-resistance of Escherichia coli.
Project/Area Number |
17K08350
|
Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
田口 貴章 国立医薬品食品衛生研究所, 食品部, 室長 (80409383)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 放線菌 / ポリケタイド / アクチノロジン / 連続水酸化反応 / エノイル還元 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度に予定した実験計画は、1.二成分系フラビン依存型モノオキシゲナーゼとして機能するActVA-5/ActVBの機能解析、2.エノイル還元酵素ActVI-2及びその相同性酵素ActVI-4の発現系確立、であり、いずれも放線菌由来芳香族ポリケタイド抗生物質アクチノロジンの生合成解明とin vitroでの生合成再現を目的としたものである。 このうち1について、モデル基質を用いて6位酸化反応を指標に反応pH、酵素濃度、補酵素濃度等検討して反応条件を最適化した後、本来の基質DDHKを用いて更に検討した結果、基質の溶解補助剤として用いていたethyleneglycol monomethyleter (EGME)が反応溶液に30%程度含まれると6位水酸化で反応が止まり、ごく少量に減量すると6, 8位の連続水酸化反応が進行することを見いだすことに成功した。さらに種々検討し、1) 8位水酸化の進行前に6位水酸化反応生成物が酵素ActVA-5から一度脱離すること、2) EGME高濃度存在下ではヒドロキノン体がキノン体に酸化される傾向があること、一方、3) EGMEが少ない条件で本酵素系はキノン体をヒドロキノンに還元する活性も有する可能性が強く示唆された。 2については、ActVI-2、ActVI-4ともにN末又はC末にHis-Tagを付加した酵素発現用プラスミドの構築を進めたが、C末付加はPCR産物をクローン化する際、1塩基の欠落及びフレームシフトが起こり構築に失敗した。両酵素についてN末付加体発現用プラスミドを構築できたが、予試験的に発現解析したところ、発現量が少ないうえ、可溶化していないことが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度に予定した実験計画1.二成分系フラビン依存型モノオキシゲナーゼとして機能するActVA-5/ActVBの機能解析、2.エノイル還元酵素ActVI-2及びその相同性酵素ActVI-4の発現系確立、のうち、1については概ね順調に進展したものの、基質調製の困難さから、酵素学的パラメーターの算出などまではいたらなかった。一方2については、PCR産物のクローニングにおいて予想外の1塩基欠落によるフレームシフトが発生し、プラスミド構築できたN末融合酵素発現系も、発現量が少ない上に可溶化せず、用いるベクター並びに構築方法の再検討が必要となった。 研究代表者(田口)が平成30年1月1日付で異動となり、また業務の都合上、異動先での生合成研究、特に遺伝子組換え実験が行えないことから実験計画2の再検討が行えず、結果、本研究課題の進捗がやや遅れることとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
実験計画1については、まず基質DDHKの収率向上のため、前駆体(S)-DNPAの還元反応条件や後処理の方法について再検討する。十分な量の基質DDHKを調製後、真の基質を用いての反応条件最適化を行い、酵素学的パラメーターの算出を試みる。 実験計画2については目的酵素の発現量の向上、可溶化促進のため、PCR条件から再検討する必要があるが、代表者が行うのは困難な状況である。そこで、H29年度、連携研究者として参画していただいた武蔵野大学薬学部市瀬浩志教授に、H30年度から新たに研究分担者として加わっていただく。プラスミド構築の再検討、並びに酵素の異種発現を市瀬教授にご担当いただくことで、実験計画1,2ともに、予定通りに進捗しなかった点に関して研究を進める。 平成29年度に得る予定だった結果を得た後に、平成30年度以降に予定していた実験計画3,4,5を順次進めていく。
|
Causes of Carryover |
年度の途中で異動となったため、予定していた実験計画を遂行できなかった。また同じく異動先での研究環境を整えるため、H29年度分予算を次年度に繰り越すことを計画した。
|
Research Products
(1 results)