2018 Fiscal Year Research-status Report
Biosynthetic studies of aromatic polyketides to overcome tetracyclin-resistance of Escherichia coli.
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17K08350
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
田口 貴章 国立医薬品食品衛生研究所, 食品部, 室長 (80409383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市瀬 浩志 武蔵野大学, 薬学部, 教授 (40282610)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アクチノロジン / 生合成 / エノイル還元 / 酵素機能 / タンパク精製 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者においては、アクチノロジン(ACT)生合成の関連化合物及びテトラサイクリン類のUHPLC分析条件を新規に検討した。ODS系コアシェルカラムを選択したところ、ACT関連化合物はテーリングが、テトラサイクリン類はリーディングが酷かった。テトラサイクリン類に関しては移動相にギ酸を10%まで添加することでピーク形状の改善が認められたものの、分離能は不十分であった。学会、論文等の調査結果から、メタルフリーカラムの使用でピーク形状及び分離能が改善する事例が多いことが判明した。 一方、研究分担者においては、ACT生合成に関わるエノイル還元酵素ActVI-2と、その相同性酵素で機能未知のActVI-4を、C-末His-tag融合タンパクとして発現、精製することに成功した。ActVI-2の失活速度が想定以上に速かったが、迅速に精製し・アッセイすることで基質特異性について検討できた。以前の我々の研究から推定されていたActVI-2の機能、即ち「生合成中間体(S)-DNPAを基質とし14,15位の二重結合を立体特異的に還元し6-deoxy-dihydrokalafungin (DDHK)を生成する」ことを実験的に証明できただけでなく、補酵素としてNADHではなくNADPHを要求すること、(S)-DNPAのエナンチオマーである(R)-DNPAも基質として認識し、同様に立体特異的還元し3-epi-DDHKを生成することを始めて示すことができた。これに対してActVI-4は、(S)-DNPAをはじめとする基質となり得る化合物を一切還元しなかったが、ACT生合成のシャント化合物の一つ、DHK-OHの誘導体の構造を変化させる可能性が示唆された。変化後の化合物の構造については、今後さらなる検討を要する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者が初年度に所属を異動したことから、初年度に計画していた実験を十分に行うこと多できなくなった。加えて、新設の研究室であるため備品・設備の整備に時間がかかったこと、他の業務へのエフォートが大きいことから、全体的に研究の進捗が遅れている。 とはいえ、研究課題申請時に連携研究者であった市瀬浩志教授(武蔵野大学)に研究分担者になっていただいたことで、本年度の大きな成果であるActVI-2及びActVI-4の精製と酵素機能の検討を達成できた。本成果は、当初の予定では初年度にされる予定であったので、2年目にさらに大きく進捗が遅れた、ということはないと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
武蔵野大学 市瀬教授には2年目に研究分担者となっていただいたが、他の研究課題との都合により3年目は研究分担者を解除することとなった。ただし、研究協力者になっていただく。研究代表者が異動したことで、計画していた実験の大半が異動先でできない状況ではあるが、研究代表者が武蔵野大学の客員准教授であることも加味し、武蔵野大学の設備・備品で実行予定であった実験は、代表者が武蔵野大学にて実行させていただけるよう調整済みである。 目的の生合成酵素ActVI-2, ActVI-4の発現・精製系を構築できたので、当該酵素2種に加え、酸化酵素系ActVA-5/ActVBについて、テトラサイクリン類を基質とするアッセイや、これら酵素の複合酵素系での機能検証、反応条件最適化及び酵素間相互作用についての検討を予定通り進める。また、ACT特異的排出ポンプActAのリプレッサーであるActRについても、発現系の構築を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
研究代表者が所属する国立医薬品食品衛生研究所食品部第三室は、2017年10月に新設された室であり、室専用の備品は2018年1月に研究代表者が着任してから設置・整備を開始した。そのため一部備品は納入が遅くなり、本研究課題以外のエフォートとのバランスから実験時間が短くなり、物品費の支出が予定より少額となった。また、1年目の成果について論文投稿を計画していたが、内容の質向上のため追試が必要と判断し、論文投稿を延期した。よって投稿に係る費用を使用しなかった。また、研究分担者においても、私立大学という性質上、教育業務が想定以上に大きくなり、当初計画していたより少額の支出となった。 3年度目は研究代表者一人の体制となるため、論文投稿を含め必要な物品費等を購入し十全に研究を進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)