2017 Fiscal Year Research-status Report
天然資源由来のp38MAPK経路を抑制する活性分子の探索研究
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17K08353
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
井藤 千裕 名城大学, 薬学部, 教授 (60193497)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | がん細胞増殖抑制効果 / キサントン / 発がんプロモーション抑制活性 / クマリン / ナフトキノン二量体 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)オトギリソウ科Cratoxylum cochinchinenseより単離した新規キサントン類の構造および含有成分のがん細胞増殖抑制効果 オトギリソウ科C. cochinchinenseより 4種の新規キサントン類を単離、各種スペクトルデータより構造を決定した。新規キサントンcratoxanthone A、Bはヒト急性リンパ性白血病細胞株(NALM-6)細胞に対して増殖抑制効果を示し、口腔類表皮癌(KB)細胞を用いたミトコンドリア膜電位を約70%低下させた。また、ジヒドロアントラセノンVisminone Fは肺腺癌細胞株(A549)細胞に対して唯一、増殖抑制効果を示し、ミトコンドリア膜電位を著しく低下させた。 2)ミカン科Melicope lunu-ankendaより単離した新規クマリン類の構造および含有成分の発がんプロモーション抑制活性 シンガポール産M. lunu-ankendaより 2 種の新規クマリン類を単離、各種スペクトルデータより構造を決定した。Melilunumarin A、6-deoxyhaplopinolおよび marmesin に著しい発がんプロモーション抑制活性が認められた。 3)イソマツ科Plumbago zeylanicaより単離した新規ナフトキノン二量体の構造および含有成分のがん細胞増殖抑制効果 イソマツ科P. zeylanicaより新規ナフトキノン二量体を単離、各種スペクトルデータの解析により構造を決定した。新規ナフトキノン二量体plumzeylanoneはNALM-6に対して増殖抑制効果を示し、正常皮膚線維芽細胞には増殖抑制効果を示さなかった。また、増殖抑制効果が最も強かったmaritinoneについてColo205細胞で細胞周期の経時変化を観察したところ、化合物処置48時間後にG0/G1期の増加、72時間後にsubG1期の増加が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究実施計画どおり、民間薬として使用されている植物エキスから新たに種々の天然有機化合物を単離・構造決定した。すでに単離・構造決定してきた種々の天然有機化合物を用いて、抗アレルギー活性試験を行い、Garcinia 属植物から単離したビフェニル類に顕著なTNF-α 分泌抑制効果を認めている。また、従来の生物活性試験も並行して実施し成果をあげている。
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Strategy for Future Research Activity |
抗アレルギー活性の認められた化合物に関しては、平成30年度の研究実施計画に従ってp38MAPKの活性化の有無および細胞内のCa2+動態についての検討を進める。また、これまでに天然資源から単離してきた各種有機化合物についての抗アレルギー活性試験に、力を注いでいく予定である。
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