2017 Fiscal Year Research-status Report
2次性てんかん予防治療における漢方療法の可能性―脳内炎症の観点からの基礎的検討ー
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17K08356
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
伊藤 康一 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (30291149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 康宏 広島大学, 総合科学研究科, 助教 (80435073)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | てんかん / 漢方薬 / 脳内炎症 / 脳波 / 疾患モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
世界的な高齢社会を迎え、脳卒中、アルツハイマー病など脳器質性病変を原因とするてんかん発症率が、上昇し続けている。てんかん発作は、日常生活に大変な不安をもたらしQOL低下を招くため、てんかん発症予防は大変重要な課題である。すでに脳神経外科領域で臨床適用されている五苓散のけいれん発作後の脳内浮腫抑制効果を見いだした。そこで、本研究課題は、漢方薬のてんかん予防治療への可能性について脳内炎症の観点から臨床適用に直結する基礎的検討を行う。平成29年度においては、まず高齢者症候性てんかんの中で一番多い側頭葉てんかんの代表的モデルとしてピロカルピン投与後全身けいれんを5回重積(SE)させることで作製した。その後、自発けいれん発作(SRS、ヒトでのてんかん) が出現するまでの間の脳波を24時間ビデオ脳波で測定した。ジアゼパムでSEけいれん発作を終息することができるが、その後も脳波上臨床においても最近注目されている非けいれん発作(突発性スパイク波含む)がSRS出現まで継続的に出現していた。この非けいれん発作波に対して、漢方薬Goresan300 mg/kg 連続経口投与において顕著な抑制は認められず、SRSの出現も認められた。つまり、現時点ではてんかん発症を予防することは難しいと考えてる。しかし、まだ例数が少ないため、次年度において更に詳細な検討を行う。また脳内炎症に対する漢方薬の影響を検討するために、脳内炎症関連分子の網羅的解析を行った。本年度では、SE後6時間、2日目の脳内炎症分子発現を行ったところ、SE後早期から炎症性、抗炎症性サイトカイン、ケモカインの発現上昇が観察され、サイトカインストームが起きていることが認められた。このことは、脳内炎症を制御するためには、総合的な脳内炎症の制御方法が必要であることが考えられる。その観点から、漢方薬の有用性について次年度行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脳波長期間測定に関しては、24時間ビデオ脳波測定装置が1台しかないため、例数を増やすのが困難な状態である。しかし、重積発作により死亡する動物数も減少したため、一匹一匹着実に測定していく。また、脳内炎症関連分子の測定も、動物間のばらつきが非常に大きいため、まとまった結果が得られにくかった。しかし、コントロール動物ではある一定の結果が得られたので、薬物に対しても検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
脳波長期間測定に関しては、臨床においても最近注目されている非けいれん発作(突発性スパイク波含む)とSRS出現との関連性に着目して解析を行い、それに対する漢方薬の影響を検討する。また、SE後早期から炎症性、抗炎症性サイトカイン、ケモカインの発現上昇が観察され、つまり第一にサイトカインストーム出現のメカニズムを解明する。
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Causes of Carryover |
平成29年12月1日(金)~5日(火)に開催されたアメリカてんかん学会年会(米国、ワシントンDC)に出席する予定であったが、大学の仕事により渡米できなかったため次年次使用額が生じた。
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Research Products
(4 results)