2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of polycyclic heterocyclic compounds as GPCR analogues
Project/Area Number |
17K08369
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
波多江 典之 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (30449912)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
町支 臣成 福山大学, 薬学部, 教授 (10248297)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 分子内環状付加反応 / セロトニン受容体 / アゴニスト |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、前年度で構築された多環縮環型複素環化合物群の合成法の基本理論に基づいて、まず化合物ライブラリーの構築を行うとともに、さらに一部の反応開発を実施した。アレニルエーテルとハロゲン化ジエンとの分子内環状付加反応において、ジエン部を芳香環とした基質での反応制御機構について解析した。ジエン部のそれぞれのオレフィンをベンゼン環とした気質については、脱芳香環化エネルギーが高いため、いずれも目的とする環状付加反応が進行しなかった。これに対して、芳香化エネルギーの低いフラン環やチオフェン環を導入した気質では、目的とする環化体を得ることに成功した。これらフランおよびチオフェン誘導体では、骨格中に種々の置換基を導入した場合においても、良好に反応が進行し、目的とする環化体を与えた。これらの反応開発に基づき、さらなるライブラリーの拡張を実施した。 また、化合物ライブラリー構築とともに、G蛋白質共役型受容体の評価系の構築を図った。とくにセロトニン5HT2受容体の活性化において、プレートリーダーを用いた細胞内Ca濃度の測定法を開発した。経時的解析が必要なため、現時点で、約100検体を2時間で処理できる評価系の構築に成功した。そこで本評価系を基礎として、各種5HT2受容体の変異体を調整し、その活性測定を行ったところ、これら変異受容体においても、目的の活性を測定できることを明らかとした。さらに、化合物ライブラリーを本評価系で評価したところ、新規な5HT2Cアゴニストの創生に成功した。本化合物は、従来報告の5HT2Cアゴニストと、母核の全く異なる化合物であった。 最後に、本研究課題で構築された化合物ライブラリーの毒性試験もかねて細胞毒性試験を実施し、一部の化合物群において、強い抗腫瘍活性が認められた。そこで、それら化合物群の抗腫瘍活性について、構造活性相関を解明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度においては、前年度に引き続き、化合物ライブラリーの拡充を目指してさらなる反応開発を行い、より詳細な反応制御機構を解明した。分子内環状付加反応を主反応とする本研究課題においては、基質の電気的・立体的要因により反応の進行は異なる。このため、反応への基質の適合性の詳細な解析は、本研究課題遂行における鍵となる。当該年度において、反応に寄与するジエン部の電気的・立体的特徴を解明したことで、さらなる化合物ライブラリーの拡充に成功した。 評価系の構築においては、通常の評価系ではhigh content screening(HCS)によるため、画像としての測定・解析が必要となるが、本評価系ではプレートリーダーを使用することで、デジタル信号の量として測定可能なため、測定・解析の時間の効率化が可能である。本評価系を用いることで、HCSによる評価と比較して、格段の数の検体の評価が可能となった。さらに本評価系を利用して、当該研究課題の根幹である、セロトニン5HT2C受容体のアゴニストの創薬に向け、そのシード化合物の創生に成功した。 また構築された化合物ライブラリーにおいては、それぞれのがん細胞に対する細胞毒性試験を並行して実施することにより、毒性評価を行うとともに、抗がん剤としての可能性を評価している。これにより、新機構主要かっし物質としてアザアントラセノン類の創生に成功してきている。 以上の成果をもとに、若干の遅れはあるものの、概ね順調に進行していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
当該年度は、前年度までの成果をもとに、化合物ライブラリーを完成させる。また完成した化合物ライブラリーは、まずセロトニン5HT2C受容体に対するGq活性評価を行う。前年度までに、1つの化合物に対して新規5HT2Cアゴニスト活性が見いだされつつあるため、交差反応性を検討するうえで、5HT2Aおよび5HT2B受容体に対する活性化について検討する。これらの検討を踏まえ、5HT2Cアゴニストとしてのプロファイルを確立する。 また、5HT2C受容体の変異受容体の作成に成功しており、本変異体を用いて、受容体との相互作用領域の解析を実施する。得られた結果は、化合物のリファインの重要なエビデンスであり、その結果を用いて分子軌道計算ソフトにより、さらなる構造のリファインメントを実施する。 さらに拡充されたライブラリーからは、それらの活性評価により、化合物の活性発現要件の解明を実施する。高いダイバシーティーは持ちつつも、合成類縁体を含むため、類縁体による構造特性の解明が可能と考えられる。そこで、類縁体の活性評価を注力的に行うことで、活性発現構造の詳細についての解明を図る。
|
Causes of Carryover |
震災の影響により、若干の研究の停滞が余儀なくされたため、一部が繰り越しとなった。
|