2018 Fiscal Year Research-status Report
ビタミンD受容体コファクターペプチドの網羅的合成と機能解析
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17K08373
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
山本 恵子 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (90147017)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ビタミンD / 核内受容体 / ビタミンD受容体 / コファクター / コアクチベーター / 結晶構造解析 / 合成リガンド / コリプレッサー |
Outline of Annual Research Achievements |
核内受容体の一員であるビタミンD受容体(VDR)のリガンド結合ドメイン(LBD)の多様な構造を検出するために、コファクターペプチド(13種のコアクチベーターペプチドおよび2種のコリプレッサーペプチド)を、マイクロウェーブを用いた固相合成法により合成し、高速液体クロマトグラフィーで精製した。得られたコファクターペプチドのCDスペクトル測定の結果、コファクターペプチド単独では緩衝液中でa-ヘリックス構造を形成していない可能性が示された。表面プラズモン共鳴法(SPR)を用いたコファクターペプチドとVDR-LBDの相互作用解析では、試験的に算出した値であるが1a,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25D3)存在下におけるコファクターペプチドRIP140-5のVDR-LBDに対するKD値は0.25 microMであり、VDR-LBDの結晶化に用いてきたコファクターペプチドDRIP205-2より強く、SRC2-3より弱い親和性を示した。この結果より、コファクターペプチドRIP140-5は、結晶化に適したVDR-LBD親和性を有すると考えられた。1,25D3存在下、VDR-LBDの結晶化を試みた。その結果、VDR-LBDの結晶構造解析では未だ報告例のないコアクチベーターペプチドRIP140-5存在下で、形の整った結晶が多数生じた。そこで、当該結晶にX線を照射したところ、分解能2.0オングストロームの回折データを得ることができた。現在データを解析中である。これらの結果は、RIP140-5が結晶化に有効である可能性を示しており、他の核内受容体の構造解析にも役立つことが期待できる。コリプレッサーペプチドを用いた結晶化は、予測通り難航を極め、現在、条件を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
15種のコファクターペプチドの合成および精製を完了している。活性型ビタミンD(1,25D3)存在下で行ったVDR-LBDの結晶化では、新たにコアクチベーターペプチドRIP140-5を含む条件で生じた結晶を用いてX線回折実験で高分解能データが得られており、現在、解析中である。コリプレッサーペプチドについては、96条件を使った網羅的な結晶化を行い、条件を探索中である。SPRによる相互作用解析から、コアクチベーターペプチドRIP140-5はこれまで報告されているコファクターペプチドと比較して中程度のVDR-LBD親和性をもつことが示された。そして、CDスペクトル測定では、緩衝液中のコファクターペプチドはほとんどがランダムコイルであることが示された。よってほぼ順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
15種のコファクターペプチドを用いて、リガンド存在下または非存在下でVDR-LBDの結晶化を行い、生じた結晶を用いて構造解析を行う。リガンドは、報告者のグループで合成した種々のビタミンD誘導体を利用する。詳細な構造解析を行い、VDR-LBDの多様な構造の検出をめざす。
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Causes of Carryover |
表面プラズモン共鳴法による相互作用解析のファーストスクリーニングは概ね完了したが、KDが算出されているのは5種のみで、残り数種の解析が実施できなかったため、未使用額が生じた。このため、残りの解析を次年度に行うこととし、未使用額はその消耗品に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)