2017 Fiscal Year Research-status Report
サラシノールをシードとする新規ジカチオン型高活性食後過血糖改善薬の合成と活性評価
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17K08377
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
田辺 元三 近畿大学, 薬学部, 教授 (40217104)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Salacinol / スルホニウム塩合成 / ジアステレオ選択的合成 / α-グルコシダーゼ阻害剤 / サラシア |
Outline of Annual Research Achievements |
アーユルベーダ薬物”Salacia”から単離されたスルホニウム塩 , salacinol (1) は糖尿病治療薬acarboseやvogliboseに匹敵する強力なα-グルコシダーゼ阻害活性を示す. これまでにこれらスルホニウム塩の全合成のみならず構造活性相関研究が盛んに行われている. 我々は1の3'-O-ベンジル誘導体類 (2) がin vitroで1の約40倍強い活性を示すことを明らかにしている. 合成には, もっぱら5員環チオ糖 (3) と環状硫酸エステル (4) や スルホン酸エステル (5) 等を用いるS-アルキル化が鍵反応として用いられているが, 4, 5の分解により反応系が強酸性になるため, 生成物あるいは原料の分解を伴い, 反応の再現性に欠ける。その上, S-アルキル化のジアステレオ選択性も良好でなく, 目的化合物の収率が極めて低く, in vivo試験用サンプルの大量供給法が確立されていない. そこで, スルホニウム塩の効率的かつ立体選択的合成を志向して, 3とエポキシド (6) とのS-アルキル化を鍵反応とするスルホニウム塩構築法検討した. その結果, 本鍵反応が高ジアステレオ選択的かつ高収率で進むことを見出す (90%, dr, α/β= ~ ca. 26/1) とともにスルホニウム塩の大量合成法の確立に成功した. さらに, 本反応を高活性サラシノール誘導体 (7) の合成にも適用し, 7のスケールアップ合成を達成した (~950 mg, ~88%, dr, α/β= ~ ca. 18/1). マウスを用いたin vivo試験では, 7を0.3 mg/kgの投与したところ, 30分の血糖値の上昇の程度が1を投与されたマウスよりも著しく強く抑制されることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度で、サラシノール型スルホニウム塩合成における最大の欠点となっていた従来法に代わる方法として、高いジアステレオ選択的、かつ高収率で合成中間体の合成法を確立し、目的スルホニウム塩の簡便合成に成功した。これにより、関連天然スルホニウム塩の簡便合成のみならず今後の構造活性相関研究におけるターゲットスルホニウム塩の調製が、今までより向上することが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に確立したチオ糖とのエポキシドとのジアステレオ選択的アルキル化を鍵反応にして、最も合成が困難な salacinol 類縁体である neokotalanol の合成を行う。さらに、さらなる高活性誘導体の創製を志向して、陰電荷をもつグルタミン酸残基を比較的多く有するα-グルコシダーゼに対して高い親和性が期待できるジカチオン型スルホニウム塩を合成しそのα-グルコシダーゼ阻害活性を評価する。
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Research Products
(4 results)