2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of the tumor-selective necrosis inducers and anti-leukemia agents
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17K08383
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
國安 明彦 崇城大学, 薬学部, 教授 (90241348)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ネクローシス / ペプチド / 白血病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者が見出した白血病細胞選択的ネクローシス誘導ペプチドTat-Ram13の標的分子を同定し、ネクローシス実行の分子機序を明らかにすること、およびTat-Ram13ペプチドミメティック化合物の抗腫瘍効果を検証することを目的とし、平成30年度は以下の知見を得た。 昨年度、ペプチドアフィニティカラムによるTat-Ram13ペプチド結合分子の解析を行い、いくつかの候補分子を見出した。今年度は、絞り込んで解析するため、非特異的結合が少なくリガンド密度を高くできるアフィニティナノビーズを用いて検討した。リガンドは、Tat領域を除いたRam13配列とし、Jurkat細胞株可溶化抽出物から結合タンパク質を回収した。特異的結合は、不活性配列mRam13との差し引きで比較した。その結果、SDS-PAGE上、50 kDaタンパク質を見出した。本分子は、二次元電気泳動においても単一スポットとして得られた。さらに、Tat-Ram13ペプチドが効果を示さないT-ALL1細胞株には存在しなかった。現在、酵素消化を行い、質量分析装置で目的分子を解析中である。 shRNAライブラリーを用いた検討において、Jurkat細胞株において遺伝子X産物がノックダウンされた細胞クローンでは、Tat-Ram13の作用が減弱することが明らかとなった。遺伝子X産物は、チロシンキナーゼ基質の一つであり、様々なシグナル伝達に関与していることが報告されている。ウェスタンブロット法でタンパク質発現を調べたところ、Tat-Ram13ペプチドが効果を示さない細胞株では欠失していた。本分子は、Tat-Ram13の細胞死誘導に関与している可能性が高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調にすすんでいる。Tat-Ram13結合タンパク質の同定までには至っていないが、あと一歩のところまできている。ペプチドミメティック化合物については、合成の目処が立っており、実行に移すだけである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度であることから、これまでの知見を基に課題完成を目指す。 1. Tat-Ram13ペプチド結合タンパク質の同定 Ram13ペプチドに結合するタンパク質の同定を行い、siRNAノックダウン実験により、ネクローシス誘導との関連性を調べる。 2. ヒト白血病細胞異種移植モデルを使った抗腫瘍効果の評価 Nudeマウスを用いて、抗がん薬耐性ヒト慢性骨髄性白血病株K562の薬剤耐性株(応募者保有)の異種移植モデルを常法に従い作製し、ペプチドミメティック化合物D(Arg6-Ram5)の抗腫瘍効果を評価する。本研究では、白血病細胞株を皮下に移植し、固形腫としてからD(Arg6-Ram5)を静脈内投与して、効果を判定する。一方、対象化合物として不活性体D(Arg6-mRam5)を用い、腫瘍容積と生存延長をKaplan-Mayer法で評価し、その抗腫瘍効果を判定する。
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Causes of Carryover |
国際学会で成果発表する予定をしていたが、都合が合わず出席できなかった。平成31年度の学会発表の旅費して計上する。
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