2019 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of a tetrameric secretory IgA antibody production
Project/Area Number |
17K08386
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
鈴木 忠樹 国立感染症研究所, 感染病理部, 部長 (30527180)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | IgA抗体 / 四量体分泌型IgA抗体 / 抗ウイルス活性 / インフルエンザ |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内において最も産生量の多い抗体であるIgA抗体はインフルエンザのように粘膜組織を標的とした感染症に対する生体防御の最前線防御因子として機能している。経鼻ワクチンにより粘膜免疫の中核をなすIgA抗体を自在に制御することができれば、有効性の高いインフルエンザワクチンの開発に繋がることが期待できる。最近の我々の研究により、呼吸器粘膜に存在する二量体よりも大きな四量体などの多量体分泌型IgA(SIgA)抗体がインフルエンザウイルス感染防御に重要であることが明らかになってきた。本研究では、四量体SIgA抗体形成機構を解析することにより、モノクローナル四量体SIgA抗体の作製方法を確立し、四量体化による抗体の抗ウイルス活性高機能化機構の解明を目指した。その結果、任意の抗原認識部位をコードするα鎖および軽鎖、J鎖(JC)、分泌片(SC)を哺乳類培養細胞に共導入することにより四量体化したSIgA組換え抗体を自在に作製する技術を開発した。この技術により、同一の抗原認識部位を有するIgG抗体、単量体IgA抗体、二量体IgA抗体、四量体IgA抗体の抗ウイルス活性を比較検討し、抗ウイルス活性に与える多量体IgA化の効果を定量的に評価することが可能となった。また、四量体SIgA組換え抗体作製技術を用いて作製された同一抗原認識部位を持つ様々な四次構造の抗体の抗ウイルス活性比較検討により、IgA抗体の四量体化は抗体の最大活性を変化させずに抗ウイルス活性の標的域を拡張させることに寄与していることが明らかになった。本研究で開発した四量体SIgA組換え抗体作製技術は、基礎研究のツールとしてだけでなく、粘膜組織に特化した新たな抗体医薬のプラットフォームとしての応用も期待できる。
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Research Products
(6 results)