2018 Fiscal Year Research-status Report
コレステロール胆石形成における肝臓AhRの機能解析と分子標的治療への応用
Project/Area Number |
17K08392
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
和田 平 日本大学, 薬学部, 助教 (20597398)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | AhR / 胆汁酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
胆石症は、胆道がんの最大の危険因子であり、現在では胆石症の70%をコレステロール胆石症が占めている。コレステロール胆石の形成は段階的に進み、様々な因子によって制御されているが、申請者らはダイオキシン受容体として知られているAryl hydrocarbon Receptor (AhR)がコレステロール胆石形成の促進因子である可能性を見出した。本研究では、肝臓AhRに依存したコレステロール胆石形成メカニズムを明らかにする目的で、胆石誘導食を負荷した肝臓特異的AhR欠損マウスを用いて解析を行った。これまでの研究において、胆石誘導食を給餌したAhR LKOマウスにおけるコレステロール胆石形成率はControlマウスに比較して有意に低いものであった。そこで、胆汁酸脂質濃度を測定したところ、コレステロールおよびリン脂質濃度において両群間では違いが認められなかったが、LKOマウスにおいて総胆汁酸濃度の有意な増加が認められた。次に肝臓から胆管へ胆汁酸排泄トランスポーターの発現量についてRT-qPCR法により測定したところ、両群間においてそれらの発現量に違いは見られなかった。また、LKOマウスの糞中コレステロール濃度は、Controlマウスのそれに比較して有意に高いものであった。これまでの結果と合わせると、LKOマウスにおける糞中への胆汁成分の排泄量がControlマウスのそれに比較して有意に高いことが示された。さらに、胆石誘導食による血中コレステロール濃度の増加は、LKOマウスにおいて有意に低いものであった。したがって、肝臓AhRにおける胆汁酸排泄制御の詳細なメカニズム解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LKOマウスにおける胆汁胆汁酸濃度の増加は、そのトランスポーターの発現量には依存しないそのほかのメカニズムの関与が示唆されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はLKOマウスの胆汁成分の排出速度および小腸における再吸収率の関与についても検討する。また、AhRアンタゴニストのコレステロール胆石症改善作用の可能性を探る。
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Causes of Carryover |
研究結果のメカニズム解析に時間がかかり、予定していた胆汁の流速速度および収縮能の実験にまで進めなかったため。
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