2017 Fiscal Year Research-status Report
喘息発症・増悪化に関わる室内環境真菌糖脂質の同定およびメカニズム解明
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17K08395
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Research Institution | Yokohama College of Pharmacy |
Principal Investigator |
大河原 晋 横浜薬科大学, 薬学部, 准教授 (20409387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 功 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (20389589)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 糖脂質 / 炎症性サイトカイン / アレルギー / 真菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
真菌は、喘息患者においてスギ、ダニに次いで陽性率が高い主要アレルゲンである。本研究は、成人喘息患者における真菌皮内テスト陽性率で高値を示す環境真菌、Aspergillus fumigatusおよびNeurospora crassaが産生する糖脂質の免疫細胞への分子メカニズムを解析することで、喘息発症の予防ならびに治療法の開発に展開するための基盤を構築することを目的としている。平成29年度は、以下のin vitro実験を行った。急性単球性白血病由来細胞株(THP-1)を用いて、Aspergillus fumigatusの主表層糖脂質である9-Me d18:24E,8E-C16h:0、9-Me d18:24E,8E-C18h:0およびNeurospora crassaの主表層糖脂質であるNeurosporaside曝露後のサイトカイン(IL-1β、IL-6、IL-8、IL-12p70、TNF-α)産生についてreal-time PCR法により評価した。9-Me d18:24E,8E-C16h:0処理によって、IL-6は2.5倍、IL-8は2.0倍、TNF-αは2.5倍のmRNA発現量の増加が認められた。9-Me d18:24E,8E-C18h:0処理では、IL-1βは3.0倍、IL-6は15倍、IL-8は5.0倍、IL-12p70は4.0倍、TNF-αは6.0倍のmRNA発現量の増加が認められた。また、Neurosporaside処理では、IL-6 mRNAの発現量を3.0倍増加させたが、IL-1β、IL-8、IL-12p70、TNF-αmRNAの発現に対する影響は認められなかった。さらに、9-Me d18:24E,8E-C16h:0、9-Me d18:24E,8E-C18h:0は、THP-1におけるp44/42MAPKのリン酸化を有意に亢進させることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Aspergillus fumigatus由来表層糖脂質が、THP-1におけるサイトカイン産生を有意に増加させることを明らかにした。さらに、この表層糖脂質によるサイトカイン産生量の増加のメカニズムの一つとして、p44/42MAPKの活性化が関与する可能性を見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Aspergillus fumigatusおよびNeurospora crassa産生糖脂質のTHP-1由来樹状細胞におけるサイトカイン産生を評価するとともに、iNKT細胞に対する活性化について評価していく。その後はこれまでの研究計画に従って検討していく予定である。
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