2020 Fiscal Year Research-status Report
内毒素や抗菌ペプチドなどの生物間の攻撃と防御の物質を利用した感染症創薬シーズ研究
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17K08397
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
川崎 清史 同志社女子大学, 薬学部, 教授 (60270641)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 免疫 / 内毒素 / 抗菌ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
生物は他の生物と互いに影響を与えあいながら進化を遂げてきた。その過程で、他の生物を攻撃する物質、他の生物からの攻撃を防御する物質、お互いの生存を助け合う物質が発達した。これらの生物間の攻撃と防御、あるいは助け合いを担う物質は自然が長い時間をかけて作りあげてきた貴重な創薬資源として捉えることができる。このうち、微生物と動物との間で攻撃・防御に関わる物質から有用な創薬シーズを作り出す。本研究では特に内毒素(エンドトキシン)やアミノ酸含有脂質などの細菌に由来する免疫刺激物質と、動物(特に昆虫)の抗菌ペプチドに焦点を当てている。これまでの研究を踏まえて抗菌ペプチドの哺乳動物免疫系に対する作用について解析を行っている。抗菌ペプチド由来の合成ペプチド用いて、マクロファージが非メチル化CpGDNAにより活性化される実験系に添加することで、免疫刺激増強活性を測定している。昨年度までの解析結果でペプチドのCpGDNAの細胞取り込み増強作用に相関がみられたので、取り込み増強が免疫刺激増強に関わると考えられた。しかし、取り込みを増強するけれど免疫刺激は増強しないペプチドが存在した。従って、単純に取り込みが増加すると活性増強につながるわけではないと考えられた。今年度はペプチドの荷電と細胞内取り込み活性の相関についても解析を行い、ペプチドの電荷がDNAとの結合に必要であり、その結合はDNA細胞内取り込みに重要であることを明らかにした。そして電荷だけでなく疎水性領域も細胞内取り込みに重要であることも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの成果を論文発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
サソリ毒に含まれる抗菌ペプチドに由来する合成部分ペプチドにCpGDNAのマクロファージ刺激作用を増強する作用があることを見出している。さらにその作用が細胞へのCpGDNA取り込みと比例することを見出した。しかしながら一部のペプチドに取り込み増強はするけれどもマクロファージ刺激増強作用を伴わないものが存在することを見出している。これらの結果に基づいて、より精緻な実験を行い、ペプチドの作用機序についてその機構を明らかにすることが本年度の課題である。
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Causes of Carryover |
「研究を効率的に行い不要な支出を抑制することにより次年度使用額が生じた。これまでに得られた結論を確かなものとするためのより精緻な研究を行うために残額を使用する。」ために令和2年度の使用額が生じた、がコロナ禍のため再延長をお願いした。これまでの結論を確かなものとする精緻な研究を行うために残額を使用します。
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