2017 Fiscal Year Research-status Report
Estrogen receptor beta induction and its splice variants as toxicity indicators of environmental chemicals
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17K08402
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
竹田 修三 広島国際大学, 薬学部, 准教授 (00460379)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エストロゲン受容体 / ビスフェノールAF / 抗エストロゲン作用 / 毒性指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、環境化学物質の毒性影響おけるエストロゲン受容体の関与に注目している。 エストロゲン受容体ERαに直接作用せず抗エストロゲン作用を示す物質として、大麻主成分のΔ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)を見出すことに成功していた。Δ9-THCは第2のエストロゲン受容体ERβの発現増加を介してエストロゲンシグナル(エストロゲンによるERαの活性化)を抑制した。本申請に向けてのさらなる検討で、ERβの誘導を示した化合物はエストロゲンシグナルを抑制した。 ERβには4種類のスプライスバリアントが存在し、ERα抑制性とそうではない分子種が存在する。従って、Δ9-THCを含めた本研究で注目する化合物はERβの選択的スプライシングに「異常」を誘発することでERαの機能を抑制する可能性がある。ERβは乳がんや認知症などの疾患との関連が指摘されており、これらの疾患がERαとERβスプライスバリアントの相互作用により生起した可能性は否定できない。 本研究では、環境化学物質の毒性指標としてのERβを確立し、そのスプライスバリアントの関与を証明することを目指している。 本年度は、特にビスフェノールの代替品として汎用されているビスフェノールAF(BPAF)に焦点を当て、解析を進めた。その結果、BPAFは高濃度領域でERβ誘導作用を示し、特にスプライスバリアントのERβ2の有意な発現増加を来した。逆に低濃度領域では、BPAFはERβ1/2の誘導を示さず、ERβ1の転写活性化を促進した。従って、in vitroの知見ではあるが、BPAFはその曝露濃度に応じてERβの誘導あるいは活性化作用の両側面から影響を与えることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究計画調書に記した検討事項がおおむねクリアされていることから、上記の判断をした。また、成果は査読付きの学術雑誌に掲載されていることからも、一定の評価がなされるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
従来、選択的スプライシングは1つの遺伝子から複数のタンパク質を合成する合理的な調節機構と考えられている。本研究では、環境化学物質の毒性指標としてのERβ誘導とERβスプライスバリアントの関与を検証することを目的とする。 1) ビスフェノールAFによるERβ2の発現増加機構を解明する。 2) これまでに候補に挙がっている化合物の影響も併せて網羅的に検討する。 以上の検討項目について、in vitroレベルで分子生物学的手法を駆使して解析を進める。
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Causes of Carryover |
当該年度の研究が当初予定していたよりも効率的に進行した。このため、購入予定であった試薬類が不必要となったため、残額が発生した。 次年度には、この残額とを併せて研究を推進する。具体的には、次年度の研究に際し、十分な予備的検討を実施することに充当する。
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