2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of the mechanism of progression of pneumonia in the initial infection of RSV
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17K08405
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
渡辺 渡 九州保健福祉大学, 保健科学部, 教授 (50399218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
明石 敏 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (10648596)
宮内 亜宜 九州保健福祉大学, 薬学部, 助教 (70736488)
黒川 昌彦 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (80186527)
吉田 裕樹 九州保健福祉大学, 薬学部, 講師 (90469411)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | RSV / 肺炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、前回の科研費研究(基盤C, No. 23590161, H26~28)で見出した抗ウイルス活性誘導物質としての不活化肺炎球菌自体の解析と2年目の計画である肺炎形成に関与する細胞種もしくは因子の探索に取り組んだ。また、今までの研究成果の国際誌での論文化への準備も始めた。 前年度からの取り組みである抗原性や薬剤耐性情報が異なる5種類の肺炎球菌株を不活化し、BALB/c♀マウス(6週齢)に麻酔下で、RSウイルスの経鼻感染1, 3および5日前に経鼻投与した。感染1日後に取得した肺胞洗浄液(BALF)中のTNF-αレベルの抑制活性はすべての菌株で見出された。そのため、今後の研究は今まで通り、標準株を用いて推進することにした。なお、菌株ごとの応答性の相違を現在、培養マクロファージ細胞で検討する準備をしている。 不活化肺炎球菌の投与で誘導される抗RSウイルス活性について、単なる免疫原性の高い“異物”による非特異的な作用である可能性も否定できず、かつ論文作成の一環としても必要と判断してBALF中のタイプⅠインターフェロンレベルを調べた。感染1日後のBALF中のインターフェロンαおよびβはともに不活化肺炎球菌投与でむしろ抑制されており、抗ウイルス作用は特異的な免疫応答への関与によるものであることが再確認された。 細胞性免疫応答への不活化肺炎球菌の関与をより明確にするため、肺への浸出細胞を病理組織学的に検討した。不活化肺炎球菌投与時には、肺組織中のリンパ球の比率が低下し肺胞マクロファージの比率が高まっていた。そこで、マクロファージのアポトーシスを抑制する作用や抗ウイルス活性を担うNK細胞の活性化が報告されているRANTESの感染初期でのレベルを調べた。その結果、不活化肺炎球菌投与で上昇していることが判明した。現在、追実験による検証を始めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、酸化チタンナノマテリアルとの比較検討試験が実施できなかったことによる。 研究計画では、今年度後半では標的細胞あるいは因子を指標として、RS肺炎増悪因子である酸化チタンナノマテリアルと同時比較検討する予定であった。そして感染初期からのRANTESの関与など、評価指標の候補を見出すなどの前進はあった。しかし、前年度の複数の肺炎球菌サンプルを利用した試験の遅れを反映したため、今年度後半に実施予定の上記試験の遅れにつながってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は標的細胞あるいは因子産生細胞のメカニズムを解析し不活化肺炎球菌が感染防御素材として応用可能か判断する必要がある。そのため、培養細胞での応答試験を中心に実施することにしている。そこで、年度前半には遅れている酸化チタンナノマテリアルとの同時比較試験と標的候補因子(例えばRANTESやTNF-α)の阻害抗体投与試験などを実施して標的細胞や因子を決定する。年度後半は、培養マクロファージ細胞などを利用したin vitro試験で肺炎形成抑制メカニズムを検証する。そして並行して得られた知見の論文化の作業を引き続き実施する予定である。
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Causes of Carryover |
計画より遅れた感染実験(酸化チタンを用いた比較試験など)があり、次年度前半に当該試験を実施する予定である。その際、病理組織学的標本作製の委託費および生化学試薬代の一部に充当する必要があるため。
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Research Products
(1 results)