2022 Fiscal Year Annual Research Report
The mechanism by which statins repress endogenous pathogenic crystal- or needle-like nanomaterial-induced inflammasome activation in macrophages
Project/Area Number |
17K08406
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
最上 知子 国立医薬品食品衛生研究所, 生化学部, 客員研究員 (90174333)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インフラマソーム / IL-1beta / スタチン / コレステロール / カーボンナノチューブ / NLRP3 |
Outline of Annual Research Achievements |
多層カーボンナノチューブ(MWCNT)はアスベストに似た形状と炎症・繊維化・中皮腫誘発作用を有する。研究代表者は、マクロファージをMWCNTで刺激するとNLRP3インフラマソームを介したIL-1β産生が促進され、この応答をHMG-CoA還元酵素阻害薬スタチンが抑制することを発見している。本研究は、スタチンによる抑制メカニズムの解明を目的とし、以下の成果を得た。(1)スタチンはコレステロール結晶ならびに尿酸結晶の刺激によるIL-1β産生をも抑制した。(2)抑制作用は化学構造の異なる複数のスタチンが有し、メバロン酸やイソプレニル経路中間体により消失することから、イソプレニル化の阻害による機序が推定された。(3)MWCNT暴露によるIL-1β産生はもっぱらNLRP3インフラマソームに依存し、AIM2、PYRIN、NLRC4インフラマソームには依存しなかった。(4) マクロファージの由来によりスタチンの抑制効果は異なっていた。(5)スタチンはインフラマソーム構成要素の発現には影響せず、MWCNTの細胞への取り込み過程を抑制した。(6)MWCNTによるIL-1β産生に部分的に関与するスカベンジャー受容体を同定し、mRNA発現のスタチンによる低下を見いだしたが、抑制は限定的であった。 コレステロール結晶・尿酸結晶など内在性の結晶性異物によるNLRP3インフラマソーム活性化は、動脈硬化や痛風など慢性炎症の病態進展に関わることが知られている。本研究により、スタチンによる抑制とその機序が明らかになった。この成果は、スタチンの抗炎症作用の新たな機序とともに、MWCNTやアスベスト等の外来性異物が誘発する炎症病態の解明、治療薬創成・健康被害防止に新たな戦略を提示するものである。
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