2017 Fiscal Year Research-status Report
Analysis on the expression of protein regulating pharmacokinetics via oxidative stress-response lncRNA
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17K08411
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
池村 健治 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (70513935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 真弘 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (70252426)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Long non-coding RNA / 酸化ストレス / 薬物トランスポータ / 薬物代謝酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
Long non-coding RNA(lncRNA)は、様々な生命現象への関与が明らかとなり、新たな制御因子として注目され、酸化ストレス時にその発現が変動することが知られている。近年、薬物代謝酵素・薬物トランスポータの発現調節におけるlncRNAの関与が指摘されており、lncRNAの発現変動が薬物体内動態の個体内・個体間変動の一因となる可能性が考えられる。本研究では、酸化ストレス応答性lncRNAを介した薬物代謝酵素・薬物トランスポータの発現調節機構と薬物体内動態変動における役割について検討を行った。ヒト結腸由来の培養腸上皮細胞Caco-2細胞に酸化ストレス発生物質である過酸化水素(0, 20, 50, 100, 200 uM)を24時間曝露し、タンパク質及びTotal RNAを抽出後、RT-PCR及びWestern Blot解析によりP-gpのmRNA及びタンパク質発現量について検討を行った。その結果、過酸化水素の濃度依存的にMDR1 mRNA発現量及びP-gp発現量の顕著な増加が認められた。さらに、P-gpの基質薬物であるRhodamine123を用いた取り込み実験を実施したところ、過酸化水素の濃度依存的に細胞内Rhodamine123蓄積量が低下し、P-gpの輸送活性の亢進が認められた。以上より、P-gpの発現・機能変動に酸化ストレスが重要な役割を果たしていることが示唆された。現在、酸化ストレスを介したP-gpの発現量・機能に及ぼすlncRNAの役割について検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29度の研究計画では、P-gpの発現調節機構に関わる酸化ストレス応答性lncRNAの同定までを予定していた。次年度に実施予定であったプロテオミクス解析を先行実施したが、解析に使用する分析機器の故障により、研究に遅れが生じ、lncRNAの同定に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
培養細胞に酸化ストレスを曝露させ、マイクロアレイによりlncRNA発現プロファイルを解析し、P-gpの発現調節に関与する酸化ストレス応答性lncRNAを同定する。さらに、Caco-2細胞、LS180細胞及びHepG2細胞を使用し、siRNAを用い標的lncRNAを特異的にノックダウンさせ、細胞から粗膜画分及びTotal RNAを抽出し、RT-PCR及びWestern Blot解析によりP-gpのmRNA及びタンパク質発現量を測定する。さらに、標的lncRNAをノックダウンさせた細胞を用い、TOF-MS/MSによるプロテオミクス解析を実施し、lncRNAによるP-gpの発現調節機構の詳細を明らかにする。さらに、酸化ストレス起因性の虚血再灌流障害モデルラットを用い、薬物体内動態における酸化ストレス応答性lncRNAの役割に関する検討を行う。
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Causes of Carryover |
平成29度の研究計画では、マイクロアレイ解析による酸化ストレス応答性lncRNAの同定を予定していたが、分析機器の故障により、研究に遅れが生じ、マイクロアレイを実施することができなかったため、未使用額が生じた。 そのため、マイクロアレイ解析は次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとした。
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Research Products
(12 results)