2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel preventive method for cisplatin-induced nephrotoxicity with drug-drug interaction
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17K08412
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
奥田 真弘 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (70252426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 卓也 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (30447867)
水野 聡朗 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (60378411)
池村 健治 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (70513935)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シスプラチン / ランソプラゾール / OCT2 / 薬物間相互作用 / PPI |
Outline of Annual Research Achievements |
シスプラチン(CDDP)は種々の固形がんに対して使用される抗悪性腫瘍薬であるが、腎障害が用量規定因子であり、しばしば投与の中断や減量を招くことになる。CDDPは尿細管上皮細胞に蓄積することで腎障害を発現することが知られており、血管内から細胞内への取り込みには有機カチオントランスポータ2(OCT2)が深く関与している。近年、プロトンポンプ阻害薬(PPI)がOCT2の輸送活性を阻害することが報告されたことから、PPIはOCT2を介した薬物間相互作用によりCDDPの腎障害を軽減できる可能性がある。本研究ではOCT2を介したPPIとCDDPの薬物間相互作用を明らかにするためにhOCT2安定発現HEK293細胞(HEK-hOCT2)及び空ベクター導入細胞(HEK-Vector)を用い、CDDPの取り込み実験を実施した。初期5分間におけるCDDPの取り込み量は、HEK-Vector細胞と比較し、HEK-hOCT2細胞で約13倍高かった。HEK-hOCT2細胞におけるCDDPの取り込みは濃度依存性の輸送を示し、Km値は11.1 uM、Vmax値は124 pmol/mg protein/minであった。さらに、PPIの一種であるランソプラゾール(100 uM)の同時曝露により、CDDPの取り込み量は約27%まで低下が認められた。以上より、ランソプラゾールはOCT2を介したCDDPの輸送を阻害することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究計画では、6種のPPI(Omeprazole, Lansoprazole, Rabeprazole, Esomeprazole, Pantoprazole, Vonoprazan)によるCDDP の取り込みに対する阻害実験によりIC50 値を算出し、さらに、CDDPの細胞毒性に対するPPIの保護効果の検討を予定していた。しかしながら、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)によるCDDPの高感度・精密定量法の確立に予定より時間を要し、1種類のPPIの検討のみに留まった。実施できなかった検討項目については、次年度に実施するものとする。
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Strategy for Future Research Activity |
各種PPI(Omeprazole, Lansoprazole, Rabeprazole, Esomeprazole, Pantoprazole, Vonoprazan)によるCDDPの取り込みに対する阻害実験によりIC50値を算出する。さらに、FDA の医薬品開発における薬物間相互作用の評価に関するドラフトガイダンスに基づき、臨床における薬物間相互作用の可能性について精査する。HEK-hOCT2細胞を用いてCDDPとPPIを一定時間同時曝露後、細胞傷害性検出キットPLUS(ロッシュ社)を用い、LDH活性を測定することによりCDDPの細胞毒性に対するPPIの保護効果について評価する。 In vitroの実験結果に基づき、臨床における薬物間相互作用の可能性の高いPPIを用い、CDDPの体内動態及び腎障害に及ぼすPPIの影響について検討する。Wistar系雄性ラット(9週齢)を用い、CDDP(7.5 mg/kg)並びにPPI(1.0 mg/kg)を腹腔内投与72時間後に、腎臓を摘出する。血中及び腎組織中CDDP濃度はICP-MSにより測定を行う。腎障害は、血清中クレアチニン値・BUN、尿中L-FABP発現量、並びに組織学的観察により評価する。なお、尿中L-FABP発現量は市販のELISA キットを使用して測定する。
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Causes of Carryover |
本年度では、CDDPによる細胞毒性に対するPPIの保護効果に関する検討を予定していたが、CDDPの定量法の確立に時間を要し、実施することができなかったため、未使用額が生じた。 そのため、細胞毒性の検討は次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとした。
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Research Products
(13 results)