2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel preventive method for cisplatin-induced nephrotoxicity with drug-drug interaction
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17K08412
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
奥田 真弘 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (70252426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 卓也 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (30447867)
水野 聡朗 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (60378411)
池村 健治 三重大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (70513935)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シスプラチン / ランソプラゾール / 有機カチオントランスポータ2 / 有機アニオントランスポータ3 / 薬物間相互作用 / プロトンポンプ阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
シスプラチン(CDDP)は種々の固形がんに対して使用される抗悪性腫瘍薬であるが、腎障害が用量規定因子であり、しばしば投与の中断や減量を招くことになる。CDDPは尿細管上皮細胞に蓄積することで腎障害を発現することが知られており、血管内から細胞内への取り込みには有機カチオントランスポータ2(OCT2)が深く関与している。近年、プロトンポンプ阻害薬(PPI)がOCT2の輸送活性を阻害することが報告されたことから、PPIはOCT2を介した薬物間相互作用によりCDDPの腎障害を軽減できる可能性がある。本研究ではPPIの1種であるランソプラゾール(LPZ)に注目し、In vivo動物実験系を用いてCDDPの腎障害及び体内動態に及ぼすLPZの影響についての検討を行った。Wistar系雄性ラット(9週齢)を用い、CDDP(7.5 mg/kg)並びにLPZ(1-2 mg/kg)を腹腔内投与し、72時間後に採血・腎臓摘出を行った。CDDPにより血清クレアチニン、BUN、尿細管障害の指標である尿中L-FABPはShamラットと比較して有意に上昇し、LPZの濃度依存的に有意な低下が認められた。さらに、Wistar系雄性ラット(9週齢)を用いて腎組織へのCDDP初期取り込み実験を行った結果、CDDPの取り込みがLPZ併用により有意に減少することを明らかにした。さらに、有機アニオントランスポータ3(OAT3)阻害剤であるプロベネシドの併用においても、腎組織中のCDDP蓄積量の減少が認められたことから、LPZのCDDP腎障害抑制作用にはOCT2のみならずOAT3も関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画ではin vivo動物実験系によるCDDPの体内動態及び腎障害に及ぼすPPIの影響についての検討を予定していたため、予定通り研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitro 細胞実験系を用いてLPZによるCDDP腎障害抑制効果の詳細な機序解明を行う。 CDDPのn- acetylcysteine抱合体(NAC1)がOAT3により輸送されることが報告されていることからHEK-hOAT3細胞を用いたNAC1の取り込み実験を行う。NAC1の取り込みに対する阻害実験により各種PPIのIC50値を算出する。さらに、FDA の医薬品開発における薬物間相互作用の評価に関するドラフトガイダンスに基づき、臨床における薬物間相互作用の可能性について精査する。さらに、基礎実験のデータに基づき、CDDP腎障害に対するLPZの腎保護効果について前向き臨床研究を行い、臨床応用を目指す。食道がんに対してFP療法(5-FU 800 mg/m2、CDDP 80 mg/m2)を実施する患者を対象として、文書による同意取得後、ランダム比較試験を実施する。腎障害の発現及び重症度はCTCAE ver 5.0を用いて評価する。血漿中CDDP濃度は原子吸光光度計を用いて測定し、薬物動態学的解析を実施する。さらにOCT2、CYP2C19の遺伝子多型についてTaqman Genotyping Assayを用いたRT-PCR法により評価する。
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Causes of Carryover |
PPIのシスプラチン腎障害軽減メカニズムとして、OCT2を介した薬物間相互作用を想定していたが、別の機序の可能性を見出し、研究方策について精査が必要なり、未使用額が生じた。 そのため、新たな機序解明のための実験に必要な試薬等にその経費を充てることとする。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Tadalafil treatment in mice for preeclampsia with fetal growth restriction has neuro-benefic effects in offspring through modulating prenatal hypoxic conditions.2019
Author(s)
Tachibana Ryota, Umekawa Takashi, Yoshikawa Kento, Owa Takao, Magawa Shoichi, Furuhashi Fumi, Tsuji Makoto, Maki Shintaro, Shimada Kyoko, Kaneda K. Michiko, Nii Masafumi, Tanaka Hiroaki, Tanaka Kayo, Kamimoto Yuki, Kondo Eiji, Kato Ineko, Ikemura Kenji, Okuda Masahiro, et al.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 9
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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