2017 Fiscal Year Research-status Report
DNA相同組み替え修復遺伝子異常を有する膵癌をターゲットとした個別化医療の開発
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17K08413
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金井 雅史 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (70432416)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 膵癌 / 相同組み換え修復異常 / BRCA / 白金製剤 / オキサリプラチン / 個別化医療 / がん遺伝子パネル検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌において生殖細胞レベルのBRCA1/2変異は家族性膵癌の原因遺伝子の一つと知られており、さらにこの変異を有する症例では白金製剤効果が期待されることが観察研究で報告されている。このBRCA1/2に加えてATM, ATR, PALB2, RAD51などの遺伝子もDNA相同組み替え修復(HRR)に関与するが、がん組織から抽出したDNAを用いたシーケンスで見つかったHRR関連遺伝子異常と膵癌家族歴との関連や、白金製剤であるオキサリプラチンに対する感受性に関しては報告がない。そこでこれまでに当院でがん組織から抽出したDNAを用いたがん遺伝子パネル検査を受けた膵癌28症例を対象に、HRR関連遺伝子異常と膵癌家族歴との関連、ならびにオキサリプラチンレジメンに対する治療効果について検討を行った。28症例中、13症例(46%) にHRR関連遺伝子上に一つ以上のアミノ酸変異を伴う遺伝子変異を認めた。この13症例中膵癌家族例を有していたのは1症例のみであり、膵癌の家族歴とがん遺伝子パネル検査時のHRR関連遺伝子変異陽性との関連は低いと考えられた。また28症例中、オキサリプラチンレジメンによる治療をうけた17症例の解析で、HRR関連遺伝子異常を有する8症例の無増悪生存期間は20.8か月であったのに対し、対照群9症例では1.7か月と、前者の方が優れていた(ハザード比 0.32, 95%信頼区間 0.10-1.06, P=0.049)。これらの内容は国際学術誌に報告した(Kondo T and Kanai M et al., OncoTarget 2018)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当院に登録されている症例の後ろ向き解析を行い、その結果を国際学術誌に報告した(Kondo T and Kanai M et al., OncoTarget 2018)。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度以降はこれまでに後ろ向き研究で得られた結果を前向き試験で確認する予定である。すでにプロトコルを作成、現在倫理委員会に申請中であり、平成30年6月頃から開始できるよう準備を進めている。
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Causes of Carryover |
平成29年度に予定していた後ろ向きの解析が早く終了したため、平成30年度以降に実施する前向き観察研究の経費に割り当てることにした。
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Research Products
(2 results)