2017 Fiscal Year Research-status Report
Approach to developing of new pancreatic cancer therapeutic method focused on fatty acid metabolism
Project/Area Number |
17K08429
|
Research Institution | Yokohama College of Pharmacy |
Principal Investigator |
西 弘二 横浜薬科大学, 薬学部, 講師 (00398249)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩瀬 由未子 横浜薬科大学, 薬学部, 講師 (00521882)
弓田 長彦 横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (40191481)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 膵癌 / アポトーシス / 脂肪酸 / グルタミン |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌の新規治療標的として、脂肪酸合成経路に着目して各種検討を行った。膵癌細胞株として、AsPC1、BxPC3およびPANC1細胞を用いて、脂肪酸合成の律速酵素であるアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)の阻害の効果を観察したところ、いずれの細胞に対してもACC阻害は増殖抑制効果を示した。また、AsPC1およびBxPC3においてはアポトーシスが見られた。この細胞死は、脂肪酸(パルミチン酸)の添加により、抑制されたことから脂肪酸の枯渇化が細胞死の原因であることが明らかとなった。 しかし、その一方でPANC1においては、細胞死は全く観察されなかった。これらの結果は、PANC1が脂肪酸枯渇に対して耐性を有していることを示唆している。そこで、飢餓培地であるEarle's Balanced Salt Solution (EBSS) で培養したところ、他の細胞株(AsPC1およびBxPC3)の増殖が抑制されたのに対して、PANC1ではそのような増殖抑制は観察されなかった。そのため、PANC1は脂肪酸のみならず栄養飢餓に対して耐性を有すことが明らかとなった。膵癌細胞の悪性度には、このような栄養飢餓耐性が関与していることも報告されていることから、PANC1の耐性機序を明らかにすることは膵癌治療の上でも極めて重要であると思われた。そこで、グルコースフリーまたなグルタミンフリーの培地で培養したところ、興味深いことにグルタミンフリーの培地でのみ増殖が劇的に抑制された。グルタミンは細胞内でTCAサイクルおよび核酸合成に利用されることが知られている。そこで、グルタミンからグルタミン酸への反応を触媒するグルタミナーゼを阻害したところ、同様に増殖が抑制されたことから、PANC1の増殖や生存にはTCAサイクルがレスキュー要因として機能していることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、当初予定していた計画からは予測出来なかった結果が得られたため、その解明のための研究に時間と予算を割くことになったが、それ以外の部分ではおおむね順調に進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
膵癌細胞内のACC阻害が膵癌治療の新しい標的となる可能性が考えられたが、脂肪酸合成阻害による脂肪酸減少と細胞死の関連については明らかになっていない。そのため、現在脂肪酸を原料とする様々な脂質の減少または脂肪酸合成阻害によるアセチルCoA等の前駆物質の蓄積のいずれかが細胞死を誘導しているのかという点に着目し検討を行っている。またPANC1のように脂肪酸合成阻害に耐性を有する細胞に対しては、脂肪酸合成阻害に加えて、新たに耐性克服の標的をグルタミン代謝を中心に検討していく予定である。
|
Research Products
(1 results)