2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K08439
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
荒井 國三 金沢大学, 薬学系, 教授 (50126562)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 服薬アドヒアランス / 糖尿病イメージ / 心理指標 / 薬剤師介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病治療において薬物療法は重要な治療法の一つである.経口血糖降下薬による服薬アドヒアランスが良好であれば,血糖コントロールが良いことが明らかにされている.また近年,糖尿病コントロールと服薬アドヒアランスや患者の心理的側面について注目されており,患者の心理指標はその内容により,糖尿病コントロールと関連があることが報告された.しかし,患者の心理指標と服薬アドヒアランスの関連については調査されていない.そこで,本研究では,服薬アドヒアランスと患者の病態理解および心理指標の関連を明らかにすることで,患者の服薬アドヒアランス向上のための服薬指導方法の提案を行えると考え,調査を行った. 調査協力依頼者数は全体で105名.回答者の内,経口血糖降下薬を使用していなかったものを除外し,69名の欠損値代入後のデータを用いて解析を行った.患者は服薬アドヒアランスのレベルとタイプの違いにより4グループに分けることができ,グループごとに関連する糖尿病イメージに違いが見られた.アドヒアランス良好群では「きちんと生活するイメージ」「付き合わされているイメージ」が強く,反対にアドヒアランス不良群では「不摂生イメージ」が強いことが分かった.一方,患者背景,病識,使用糖尿病薬の種類,血糖コントロールについてはグループ間で有意な差が見られなかった. 結論:・2型糖尿病患者は服薬アドヒアランスのレベルやタイプの違いにより,4つのグループに分類することができる. ・服薬アドヒアランス良好群と不良群では持っている糖尿病イメージが異なる. ・薬剤師の介入により,患者の持つ「不摂生なイメージ」を「きちんと生活するイメージ」へ変化させていくことで,服薬アドヒアランスの向上につながることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年は研究体制の構築と患者リクルートを行った。具体的には37薬局の研究参加の同意を得ることが出来、9月に研究参加する薬局に対して合同説明会を行い、大学と薬局との情報共有のためのDropboxの設定、また研究に際して必要な書類等の整備を行った。10月から薬局で患者リクルートを開始し目標患者登録数180名に対して、105名の登録であるが、最終の解析可能な数が登録できた。更に、患者登録後の追跡調査に関しても問題なく実施されている。さらに、2月の中間報告会を開催し、糖尿病に関する情報提供の講演会を催す。最終年には報告会と糖尿病講演会を開催した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)追跡調査の実施:i) 患者登録者全員に対して、患者登録時と1年後に服薬アドヒランス、心理指標、糖尿病に関する知識を質問紙で調査を行う。ii)薬剤師が糖尿病患者の治療に積極的にかかわること(処方日以外の日に患者に電話やメールで糖尿病治療に関する相談や服薬アドヒアランスや症状などを聞き取る)により、糖尿病患者の心理がどの様に変化するかを調べる。iii)また、患者登録時と1年後の状況について、追跡調査記録から集計する。 2)結果のまとめ:評価項目・患者登録時と一年後の患者心理指標の変化・治療継続の有無(追跡可能期間)・服薬状況の変化(服薬アドヒアランス)・症状変化、副作用の発見とする。統計的事項として薬剤師による連絡頻度とアウトカム評価薬剤師による連絡頻度とアウトカム評価(1)心理指標、2)服薬アドヒアランス、3)治療効果、4)副作用発見)の関連を、交絡因子を調整し多重解析を行う。統計解析ソフトSPSSを用いて、データの集計及び解析を行う 3)年一回の中間報告会を開催するとともに中間報告会において、糖尿病に関する情報提供の講演会を催す。最終年には報告会と糖尿病シンポジウムを開催する。
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