2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K08455
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
板井 茂 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (80453059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 晋一郎 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (20791338)
岩尾 康範 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (30433022)
東 顕二郎 千葉大学, 大学院薬学研究院, 准教授 (40451760)
森部 久仁一 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (50266350)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バイセル / DDS / 安定性 / Cryo-TEM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,”ナノディスク脂質構造体・バイセル“を新規医薬用ナノキャリアへ応用すべく,企図された. 本年度は,柑橘類の皮から単離されるポリメトキシフラボノイドであり, 高血糖及びインスリン抵抗性の抑制等の薬理作用を有することが報告され, 糖尿病治療への利用が期待される難水溶性化合物であるNobiletin(NOB)を用い,hydrogenated soybean phosphatidylcholine (HSPC)/ 1,2-dipalmitoyl-sn-glycero-3-phosphoglycerol (DPPG) 混合体(10/2)の組成より脂質ナノ粒子(LNs)を調製し,その物性を評価すると共に,生体内の安定性・吸収性評価を行った.調製したNOB-LNsの外観は澄明であり, 粒度分布は単峰性,見かけの溶解度は137.0 ug/mLと NOB原末の約8倍に上昇した. ゼータ電位の値から良好な分散安定性を有していること, また大部分のNOBが粒子中に存在していることが明らかとなった. Cryo-TEM画像から, 扁平な粒子であることが示唆され,AFM画像から粒子径が約50 nmであるのに対し, 高さが約5 nmと小さいことが明らかとなり,NOB-LNsは既報と同様にディスク状粒子バイセルであると考えられた. 模擬胃液としてFaSSGF, 模擬腸液としてFaSSIF及びFeSSIFを用い, 粒子を37°Cで一定時間インキュベートした結果,若干の粒子径の増大が確認されたが,それらの溶液においてもある程度安定であることが示唆された. また,ヒト結腸癌由来の細胞株Caco-2細胞を用いて膜透過性を評価したところ,NOB透過量は用量及び時間依存的に増大することが明らかとなった. 以上より, NOB-LNsは優れた安定性・吸収性を有するナノディスク脂質構造体であることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画したように,脂質構造物にモデル薬物を内封させ,その詳細な構造・機能性評価ができている.当初,抗がん剤を封入した脂質構造体を調製し,その抗がん作用を評価するつもりであったが,その前段階として,抗糖尿病作用を有する化合物の評価を試み,その有用性が示された.今後,抗がん剤内封脂質構造物の評価も最終年度に行う予定であり,順調に研究が進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,NOB内封バイセルの取り込み機構の解明 (in vitro評価) と,マウスを用いた体内動態評価とラットにおける抗糖尿病効果 (in vivo評価) を検討する予定である.また,合わせて,抗がん剤内封脂質構造物の評価も行う.
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Research Products
(4 results)