2017 Fiscal Year Research-status Report
ヒューマニティ教育をベースとした参加型研究倫理教育プログラムの構築
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17K08463
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
有田 悦子 北里大学, 薬学部, 准教授 (60220240)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 研究倫理教育 / 薬局薬剤師 / 意識調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、臨床心理やコミュニケーションなどのヒューマニティ教育をベースとし、薬剤師が研究倫理を学ぶ意識づけにつながる参加型教育プログラムの構築を目指している。 1年目にあたる本年度は、薬局薬剤師の職能団体である日本薬剤師会の研究倫理教育に関する情報を収集し、現状分析を行うことを目的として研究活動を行った。 日本薬剤師会の研究倫理啓発活動としては、平成25年度より「臨床および疫学研究に関する倫理審査に関わる検討委員会」を設置し、平成26年度には「研究倫理e-ラーニングコンテンツ」が公開されている。また、平成28年度から設置された「臨床研究推進委員会」では、全国都道府県薬剤師会を対象とした倫理審査の取り組み状況調査の他、平成28年度第49回日本薬剤師会学術大会の一般演題の検討を行い、一般演題678演題のうち倫理審査が必要と判断される演題は63%を占めるが、実際に倫理審査を行っている演題が少ない現状が報告されている(平成29年度研究倫理に関する全国会議資料 平成29年12月8日)。平成31年度第52回日本薬剤師会学術大会より、演題のエントリー時に倫理審査の有無を登録することが義務付けられる。それらの背景を受け、平成30年3月には「研究倫理審査申請準備ガイド~研究計画書の記載方法~」が作成され、全会員に配布されている。このように全国薬剤師会を対象とした研究倫理教育の取り組みは急速な勢いで進んでいる一方で、その結果、ここ数年、全国の薬剤師会に対する啓発活動は進んでいるものの、個々の薬局薬剤師までは浸透しきれていないことが明らかになった。 そこで、全国の薬局薬剤師を対象に臨床研究や研究倫理に関する認識や教育経験等について、ネットによるアンケート調査を実施し200名から回答を得た。結果について現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目にあたる本年度は、日本薬剤師会を代表とする機関より提示された薬剤師を対象とした研究倫理教育に関する情報を収集し、現状分析を行うことを目的として研究活動を行った。臨床研究法の法制化の時期と重なり、薬剤師を対象とした研究倫理教育の機運が高まっていることも幸いし、本研究を進める上で協力的な対応を得られた。 そこで、薬局薬剤師の臨床研究や研究倫理に対する意識調査を実施した。調査にあたっては、当初日本薬剤師会の協力を得ることを検討したが、回答者選択における偏りを防ぐためにネットアンケートを用い、全国から無作為抽出した薬局薬剤師200名から回答を得ることができた。 一方で薬局における臨床研究の具体例や課題についての情報収集は未だ途上であり、薬局薬剤師へのインタビュー等は次年度に実施予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に実施した薬局薬剤師の意識調査結果をもとに研究倫理を学ぶにあたっての課題を明確にし、意識づけにつながる参加型教育プログラムの構築へ反映していく。本調査結果については関連学会での発表を予定している。 更に参加型教育プログラムを構築するにあたって、薬局で実施された臨床研究の具体例および問題点の収集のため薬局薬剤師等へのインタビューを予定している。 それらの結果をもとに、模擬臨床研究プロトコールを始めとする参加型教育用教材を作成し、可能であれば平成30年度中に小規模の参加者を対象としたトライアルを予定している。
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Causes of Carryover |
今年度予定していた薬局薬剤師の意識調査はネットアンケートにより行ったため調査のための旅費や謝金等が発生しなかった。 一方で薬局薬剤師へのインタビュー調査は次年度に実施予定となったため研究協力者への謝金が必要となる。
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