2019 Fiscal Year Research-status Report
ヒューマニティ教育をベースとした参加型研究倫理教育プログラムの構築
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17K08463
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
有田 悦子 北里大学, 薬学部, 教授 (60220240)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 研究倫理教育 / 薬局薬剤師 / 意識調査 / ヒューマニティ教育 / 病院薬剤師 / 学習動機 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、臨床心理学やコミュニケーションなどのヒューマニティ教育をベースとし、薬剤師が研究倫理を学ぶ意識づけにつながる参加型教育プログラムの構築を目指している。2019年度は研究代表者の手術入院があり、半年近く活動が出来なかった。その様な状況下ではあったが、研究班として以下の様な研究活動を行った。 これまでの研究で、薬局薬剤師は研究倫理を学ぶ機会は乏しいが学ぶ意欲があることが明らかになっていた。そこで病院薬剤師にも同様の調査を実施し、薬局と病院を比較することで研究倫理の学習意欲について検討を行った。「臨床研究」について内容を説明できる割合は薬局薬剤師の方が有意に低かった(P<0.05)。また「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を聞いたことがない割合も薬局薬剤師の方が有意に高かった(P<0.05)。学習への志向性で最も点数が高かったものは薬局で充実志向、病院で実用志向であり、学習機会を提供する際にはそれぞれの志向性を考慮する必要があると考えられた。 以上から、薬局薬剤師には基礎的な知識はもとより、その活用方法を体験することで新たな気づきが得られる題材、病院薬剤師には医療現場の類似例から実践につながる題材を用いることで、研究倫理への学習意欲が向上することが示唆された。 これらの結果をもとに薬局薬剤師が研究倫理を学ぶ動機づけにつながる教育教材を作成し、第52回日本薬剤師会学術大会にて薬局薬剤師を対象に研修会を実施した。 また、薬剤師との比較として医師を対象とした意識調査結果について発表した(医師を対象とした“研究倫理教育”に関する意識調査、第40回日本臨床薬理学会学術総会)。更に、薬局薬剤師の倫理から連想する自由記述の検討結果について発表を行った(薬局薬剤師の研究倫理の捉え方に関する質的研究―より適切な研究倫理教育のために―、第140日本薬学会)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度に研究代表者の手術入院により約半年に渡り活動が出来なかったことにより、当初予定していたスケジュールを遂行することができなかった。 一方で、2018年度に病院薬剤師や医師を対象として実施していた研究倫理に関する意識調査結果については、関連学会にて発表することができた。 また、薬局薬剤師を対象として構築中の研究倫理教育プログラムを用いた研修会を実施し、プログラムに対する評価を受けることもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度が最終年度であったが研究代表者の手術入院により半年にわたり活動がストップしたため研究期間の延長を申請し承認された。 2019年度に構築した倫理教育プログラムは心理学的知見に基づく行動変容を意識した動機づけに焦点を当てたものだったので、2020年度は研究対象者とのコミュニケーションに焦点をあてた研修プログラムを検討し、第53回日本薬剤師会学術大会(2020.10)での実施を予定している。 ただ、Covit-19の状況で発表等を予定していた学会も中止、延期となっており、今後の研究スケジュール予定が立てられない状況が続いている。
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Causes of Carryover |
2019年度は研究代表者の手術入院により約半年に渡り活動が中断してしまったため、予定通り研究スケジュールをこなすことが出来なかった。 2020年度への延長が認められたので、研究計画に則り、研究倫理教育プログラム構築に向けて教育資材の作成や活用、検証等を行っていきたいと考えている。 しかし、現時点(2020年5月)でCovit-19の感染拡大防止の観点から研究活動の継続や学会会、集会等の開催が困難な状況が続いており、本研究の趣旨である参加型教育プログラムの検証をどのように実施していくのか予定が立てられない事態となっている。
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