2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒューマニティ教育をベースとした参加型研究倫理教育プログラムの構築
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17K08463
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
有田 悦子 北里大学, 薬学部, 教授 (60220240)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 研究倫理教育 / 薬局薬剤師 / 意識調査 / ヒューマニティ教育 / 病院薬剤師 / 学習意欲 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、臨床心理学やコミュニケーションなどのヒューマニティ教育をベースとし、薬剤師が研究倫理を学ぶ意識づけにつながる参加型教育プログラムの構築を目指している。 これまでの研究で、薬局薬剤師は研究倫理を学ぶ機会は乏しいが学ぶ意欲があることが明らかになっていた。そこで病院薬剤師にも同様の調査を実施し、薬局と病院を比較することで研究倫理の学習意欲について検討を行った。「臨床研究」について内容を説明できる割合は薬局薬剤師の方が有意に低かった(P<0.05)。また「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を聞いたことがない割合も薬局薬剤師の方が有意に高かった(P<0.05)。学習への志向性で最も点数が高かったものは薬局で充実志向、病院で実用志向であり、学習機会を提供する際にはそれぞれの志向性を考慮する必要があると考えられた。 これらの結果をもとに薬局薬剤師が研究倫理を学ぶ動機づけにつながる教育教材を作成し、第52回日本薬剤師会学術大会にて薬局薬剤師を対象に研修会を実施した。また、薬剤師との比較として医師を対象とした意識調査結果について学会発表を行った。更に、薬局薬剤師の倫理から連想する自由記述の検討結果について学会発表を行った。 2020年度はCOVID-19による活動制限があり、予定通りの活動が出来ない状況下ではあったが、第53回日本薬剤師会学術大会(2020.10)にて薬局薬剤師を対象としたオンラインライブの研究倫理教育研修会を実施した。その結果については学会発表を予定している。 更に、これまでの研究成果について論文2報(海外誌1,学会誌1)を公表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は研究代表者の手術入院により約半年に渡り活動が出来なかったことにより、当初予定していたスケジュールを遂行することができなかった。更に2020年度はCOVID-19による活動制限があり、予定通りの活動が出来なかった。 その様な状況下ではあったが、2019年度は第52回日本薬剤師会学術大会にて薬局薬剤師を対象に研修会を実施した。また、薬剤師との比較として医師を対象とした意識調査結果について学会発表を行った。更に、薬局薬剤師の倫理から連想する自由記述の検討結果について学会発表を行った。 2020年度は第53回日本薬剤師会学術大会(2020.10)にて薬局薬剤師を対象としたオンラインライブの研究倫理教育研修会を実施し、その結果について学会発表をしている。更に、これまでの研究成果について論文2報(海外誌1,学会誌1)を公表している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度はCOVID-19の影響で発表を予定していた学会も中止、延期となり、新たな研究活動を進められない状況が続いていた。一方で、その期間を活用して、これまでの研究結果を整理し、論文として公表した。 我々の研究からは、薬剤師が研究倫理を学ぶ目的はルールや規制の習得が中心となり、何のためにルールや規制が生まれたかという根本的な理解が薄れている傾向が明らかとなっている。 そこで2021年度は、薬局薬剤師の研究に対する意識について改めて調査を行い、研究対象者保護という根本的な目的を学ぶための教育プログラムを構築する。 また、医療人としての倫理観と研究者としての倫理観の両方を身に着ける必要がある薬剤師として、研究対象者に配慮した同意説明を実施するために心理やコミュニケーションに焦点をあてた研修教材を作成する。
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Causes of Carryover |
2020年度は研究計画に則り、研究倫理教育プログラム構築に向けて教育資材の作成や活用、検証等を行っていきたいと考えていたが、COVID-19の感染拡大防止の観点から研究活動の継続や学会、集会等の開催が困難な状況が続いた。 そのため本研究の趣旨である参加型教育プログラムに関わる調査、参加型教育教材の作成が出来ない状況となった。2021年度は状況の好転が望まれるが、感染予防に十分配慮しながら、薬剤師を対象とした調査や研究対象者への同意説明に関する教材の作成を実施する予定である。
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