2018 Fiscal Year Research-status Report
Antitumor activity of the combination of arsenic compound and tetrandrine against human breast cancer
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17K08465
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
袁 博 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (10328552)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヒト乳がん / ヒ素化合物 / テトランドリン |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に続き外科的に切除された乳がん組織を、加熱可逆性ハイドロゲル(TGP)を用いて三次元培養し、より生体内と近い条件で乳がん組織に対するヒ素化合物(亜ヒ酸ナトリウム、二硫化二ヒ素)とテトランドリン(Tetra)の単独および併用効果を以下のように検討した。さらに、遺伝学的な違いのある三種類の乳がん細胞に対する両薬物の分化誘導能について検討を試みた。 ①細胞毒性の観点からの検討:WST法により、薬物の単独および併用が乳がん組織の生存に対する影響を検討したところ、前年度同様明らかな影響を与えられなかった。三次元培養(低酸素状態)が組織の薬物耐性にポジティブ的な影響を与えた可能性があると考えられる。 ②Cytometric Bead Array(CBAアッセイ)を用いて、上記三次元培養の培養上清中のIL-6, IL-10, IL-17A, TNF, IFN-γおよびTGF-βの量的変動を測定した。IL-6の分泌量が一番多く検出され、それぞれの薬物単独処理ではその量が抑制される傾向が観察された。一方、他のサイトカイン類の分泌量が少なかった。 ③エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)発現の違いのある三種類の乳がん細胞【MDA-MB-231(トリプルネガティブ、ER-PR-HER2-)、MCF-7(ER+PR-HER2-)およびT47D(ER+PR+HER2-)】に両薬物の分化誘導能を検討したところ、MCF-7に対する単独および併用効果が共に観察された。 ④ヒト乳がん由来組織の担がんモデルマウス【patient-derived tumor xenograft (PDTX)】の作成を試みたところ、移植手術が順調だったが、がん組織の増殖がうまく観察されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト乳がん組織をなかなか入手しにくい中、ほぼ平成30年度の研究計画通りに実験を実施することができ、概ね順調であった。ある程度の検体数を集められ、確立したCBAアッセイ法に則って各種サイトカインの測定ができた。今後さらに検体数を増やし、統計学的に薬物の単独および併用効果を検討し、ヒト乳がん組織に対する薬物の影響を明らかにしたい。 また、三種類の乳がん細胞に対する両薬物の分化誘導能の違いが確認されたので、引き続きそのメカニズムを検討する予定。前述のPDTXモデルの作成がまだうまく出来ていなかったので、引き続きPDTXモデル作成条件を検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29、30年度に得られた研究成果を踏まえ、平成31年度の研究実施計画に則って研究を進めていく予定。 前述のようにできるだけ乳がん由来組織の検体数を増やし、IL-6を含む上記のサイトカイン類の分泌の量的変動を検討し、さらにこれらデータと臨床検査データと照合し、データ間の関連性を結びつけることを試み、薬物が乳がん患者に与えうる臨床的な影響を明らかにしたい。 引き続き健常者由来のPBMNCs中のCD4+CD25+FoxP3+細胞(Treg細胞)割合に対する薬物の影響を検討する。 PDTXモデルの作成のために、引き続き条件を検討する予定。
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