2017 Fiscal Year Research-status Report
在宅医療での薬剤師の多職種協働に対する心理的障壁を緩和する教育プログラムの開発
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17K08471
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
半谷 眞七子 名城大学, 薬学部, 准教授 (40298568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 恵子 愛知医科大学, 看護学部, 教授 (00444274)
亀井 浩行 名城大学, 薬学部, 教授 (60345593)
渕田 英津子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (90315846)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 薬剤師 / コミュニケーション / 多職種協働 / 在宅医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
医療が高度化・複雑化する一方で、患者の状況に的確に対応した医療を提供するために、多職種の医療者が専門性を最大限に発揮し、かつ連携・協働するチーム医療が推進されている。さらに我が国では高齢化が進み、医療体制が入院から在宅に変換しつつあり、薬剤師の活躍が期待されている。しかしながら先行研究から、薬剤師が地域のゲートキーパーとして役割を果たすためには他職種との情報共有の過程で心理的障壁が認められ、他職種との連携が困難となっている。 昨年度は、在宅医療における保険薬局の薬剤師と他職種との情報共有の現状を抽出するために、保険薬局の薬剤師5名、及び他職種である看護師4名、介護士2名、医師1名を対象に半構造化インタビューの手法でインタビューした。そのインタビューの内容の逐語録を作成、データ化し、グラウンデッド・セオリー法を用いて質的に分析している。看護師、介護士に関するデータの分析では、①看護師と介護士では在宅医療での薬剤師の業務への評価が異なること、②在宅医療における多職種間での患者情報の共有に関する問題、③在宅医療での患者の服薬管理において職域の重なりによる問題について特徴を見出した。本内容に関しては、平成30年6月に実施される医療薬学フォーラム2018で報告する予定である。また現在、医師、薬剤師のデータの分析も行っており、総合的に在宅医療における保険薬局の薬と他職種との情報共有に関する現状を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、在宅医療における保険薬局の薬剤師と他職種との情報共有の現状を抽出するために、保険薬局の薬剤師5名、及び他職種である看護師4名、介護士2名、医師1名を対象に半構造化インタビューの手法でインタビューした。現在、そのデータについてグラウンデッド・セオリー法を用いて質的に分析している。研究計画においても初年度は在宅医療における保険薬局の薬剤師と他職種との情報共有の現状に関する調査を予定していたので、現在のところ概ね計画は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の調査、及び先行研究から薬剤師の多職種協働に対する心理的障壁が認められ、この心理的障壁を軽減し、他職種とお互いの理解を深めるために、アサーティブな自己表現を目指したトレーニングプログラムの導入が望まれる。本研究では、看護師の自己表現を評価するRathus Assertiveness Schedule 日本語版(RAS-J)を参考に、薬剤師がチーム医療の中で自らの専門性を発揮するために必要な自己表現法であるアサーション能力を評価する「チーム医療における薬剤師のアサーション評価票(Inter-professional Assertion Scale: IAS)」を作成し、その因子構造の解明、及び妥当性や信頼性を検討する。本研究ではチーム医療における薬剤師のアサーション評価票(Inter-professional Assertion Scale: IAS)の開発を目的としているため、チーム医療における場面を想定した項目内容を目指し作成する。評価票の作成にあたっては、その分野の専門家で評価票の内容を検討(内容的妥当性)し、IAS原案を作成する。作成した調査票は、インターネットを通して薬剤師に配信、回収する。回収した評価票(IAS)の妥当性や信頼性を検討する。RAS-Jを参考に評価票(IAS)の質問項目を因子分析により、最終的に4つの因子構造(「アサーティブな自己表現」、「非主張的な自己表現」、「攻撃的な自己表現」、「間接的攻撃的な自己表現」)に属するかについての妥当性(構造概念妥当性)を検討する。候補項目を一項目ずつ、または複数項目を削除しながら、因子分析(プロマックス回転)を行い、Cronbachのα信頼性係数も抽出する。また開発した評価票(IAS)と、開発時に参考としたRAS-Jとの相関関係、妥当性(基準関連妥当性)を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
・当初コンピューターを購入しデータ入力を行う予定であったが、既存のコンピューターで入力が可能になったため、購入しなかった。 ・平成29年度に調査票の開発のための謝金を計上していたが、平成30年度に実施することとなった。
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