2017 Fiscal Year Research-status Report
薬学生・薬剤師の「対人援助力」養成のための新しい実践的教育プログラムの構築
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17K08472
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Research Institution | Kyoto Gakuen University |
Principal Investigator |
伊原 千晶 京都学園大学, 人文学部, 准教授 (80288589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀井 美和子 日本大学, 薬学部, 教授 (00237504)
松村 人志 大阪薬科大学, 薬学部, 教授(移行) (50173886)
松島 哲久 大阪薬科大学, 薬学部, 研究員(移行) (60209541)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 薬学教育 / 対人援助 / 臨床心理学 / カリキュラム開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、薬剤師・薬学生を対象として、対人援助職にふさわしい知識・技能・態度を習得させるための教育プログラム開発を目標とし、臨床心理学的知見および模擬患者の利用を特徴としている。具体的には、薬剤師を対象としてコンプライアンス・多職種連携などの臨床実践において問題が生じがちな場面設定のもとでロールプレイを実施するコースと、薬学生を対象に、より基本的な知識・技能の教育も含めたコースの確立を目指している。 年度当初に研究代表者・研究分担者および研究協力者のうち、京都府下で薬剤師として臨床実践および薬学生教育に携わっている1名によって、前者のコースに関するキックオフ・ミーティングを実施した。研究計画の概要を共有後、模擬患者に演じてもらうシナリオの内容について、臨床心理学的観点・精神医学的観点・倫理学的観点から各自が作成し、全員で検討することを決定した。また神戸市立医療センター中央市民病院の薬剤部にも研修実施を依頼した。 後者のコースについては、研究代表者が、薬学生への教育についての研究協力者である徳島大学薬学部の教員と夏休みに面談し、対象となる学生の人数・期間などについて計画を具体化させた。その話し合いに基づいて、研究計画書・研究の参加者に対する説明文書等を作成し、京都学園大学および徳島大学の倫理審査委員会に提出した。徳島大学においては既に研究実施の承認が下りており、京都学園大学においては継続審査中である。 また研究代表者は私立大学の薬学部において対人援助職教育にかかわる科目の非常勤講師を勤めており、授業内容に本研究を反映させ、実践的データを集めている。 薬剤師の対人業務のうち、援助職として機能する部分の重要性は次第に認識されてきてはいるが、実践的な教育は未だになされておらず、研究分担者や研究協力者が共通認識を持って研究に取り掛かる意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
進捗が遅れている理由は2点ある。1点目は研究代表者の個人的事情である。2017年度に近親者が急逝した上に、代表者本人が継続的にインテンシブな治療を要する疾患に罹患したため、迅速で十分な検討・連絡・対応ができず、研究組織を刺激し、研究を前に進めることができなかった。 2点目は京都学園大学の倫理審査委員会の体制の問題である。迅速審査で申請したにもかかわらず、1月近く経ってから、個々の審査委員の意見や委員長の私的見解が提示されただけで、委員会としての見解は回答がなかった。その内容も、研究を具体的に実施する場となる徳島大学薬学部の状況を考えないもので、現場との刷り合わせが困難である。そのため徳島大学において倫理審査委員会の承認を先に取得してもらったが、京都学園大学では、そのままの形での承認がなされないため継続審査のままであり、研究開始に至っていない。 また、神戸市立医療センター中央市民病院におけるレジデント研修についても、まだ具体化が進んでおらず、実施に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度中に実施する計画を立てながら、未だ実行できていない課題について、早急に取り組み、薬剤師・薬学生対象の研修会を実施する。薬剤師対象の研修会については、シナリオの作成を行うと共に、研修会の参加者を募集し、具体的な実施計画を策定する。平行して、模擬患者を演じる臨床心理士等の募集も行い、その訓練を開始する。また一般病院の薬剤部にも声を掛けて、病院として研修実施が可能かどうかを探る。 薬学生対象の研修会については、倫理審査委員会の承認を得て参加学生を募集する。その際には、元々のアイデアを持っているドイツ・ハイデルベルグ大学のWischman 教授に連絡を取り、ドイツでの実践データを入手して、日本での実施の参考とする。 いずれも映像資料を記録媒体とし、その分析も実施する。
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Causes of Carryover |
研究代表者の個人的事情および研究倫理審査委員会での停滞から、研究実施が計画通りに進まず、遅れが生じ、また代表者の健康上の問題があったために海外の研究者との交流が実施できなかったため、次年度使用額が発生した。 本年度については、研修会を実施するために模擬患者の人件費・徳島までの旅費などが発生し、またドイツ・アメリカ等、本研究を立案する際に参考にした海外の研究者とも意見交換を実施する必要性があるため、合算した助成金を使用する予定である。
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